◆猫を最優先にしながら人馴れ&里親探しができる場所を

 鍵山さんは2020年1月、保護猫活動を視野に入れた事業母体として、カフェ「はちわれ農園」を立ち上げました。

お店で販売されているサンドイッチ
お店で販売されているサンドイッチ
「当初は保護スペースがほとんどなかったため、カフェ店舗で子猫の里親探しの仲介を少しし、数匹保護しているくらいでした」

 ところが、2021年12月に保護依頼が立て続けに舞い込んできて、保護猫の数は急増。そうした状況に置かれ、猫と人を紡ぐ場所を作りたいと思うようになりました。

 しかし、一般的な猫カフェは基本的には収益施設となるため、どうしても猫の都合より人間の都合が優先される部分があるもの。鍵山さんは猫が最優先されながら、里親探しができる場所を作りたくて、頭を悩ませました。

「野良猫や多頭飼育現場にいた子、事情があって引き取った飼い猫など、生い立ちはそれぞれ。里親さんを見つけるためには人間に慣れてもらう必要がありますが、その過程で嫌な思いをしたら、逆に人間を嫌いになってしまうことがあります」

猫たちが好む静かで落ち着いた環境も確保できる
 猫が嫌な思いをせず、人馴れできる環境とはなんだろう。そう頭を悩ませた時、思いついたのが、ネコハラを受けられるコワーキングスペースでした。

「コワーキングスペースなら、猫たちが好む静かで落ち着いた環境も確保できるなと。“ネコハラ”という、ある意味邪魔でしかない行為をわざわざ体験しにきてくださる方は、きっと猫が大好きで、猫を尊重してくれるだろうと思ったんです」