実写化のハードルは高かったが・・?(@onepiecenetflix)実写化のハードルは高かったが・・?(@onepiecenetflix)

実写版ドラマシリーズ「ONE PIECE(ワンピース)」が本日よりNetflix(ネットフリックス)で配信開始。本作の原作者である尾田栄一郎が、映像技術の発展と『少林サッカー』がもたらした実写化への影響を語った。

尾田栄一郎は1997年に連載スタートした漫画「ONE PIECE」を25年以上にわたって連載し続け、近年は『ONE PIECE FILM』と題した映画シリーズの製作にも直接関わるなど、自身のコンテンツの派生作品にも積極的に身をささげてきた。そんな尾田は、Netflixによる今回のドラマ化にも製作総指揮として深く関わり、YouTubeにも本人登場のコラボ動画が上がるなど、キャストとも良好な関係を築いているようだ。

「時代が変化したことに気づきました」

尾田は、ニューヨーク・タイムズ誌とのインタビュー(8月29日掲載)で、「ONE PIECE」実写化に対する自身のスタンスの変化と、香港映画『少林サッカー(2001)』が今回の実写化に与えた影響を明かした。「企画立ち上げ当初、僕はマンガを実写映像としてリメイクするなんてありえないと思っていました」「でもあの映画(『少林サッカー』)を観た後から、マンガが活き活きと動くことに可能性を感じたんです」と、尾田は実写化を拒絶する考えが変化してきたことをふり返る。

続けて「時代が変化したことにも気づきました。今はもう『ONE PIECE』の世界で起こることを実写映像にする技術が存在する。そう思ってから、『ONE PIECE』の実写化に適したパートナー探しが始まったんです」とNetflixと結ばれるまでに、時代による映像技術の進化が前提にあったことを説明した尾田。

「ONE PIECE」では、「ゴムゴムの実」を食べて全身が伸縮自在なゴム人間になった主人公モンキー・D・ルフィをはじめ、身体がバラバラになって浮くことができる海賊、全身がマグマになる海軍大将、人間のような姿に変身できるトナカイや生きたガイコツまで、現実離れしたキャラクターや現象が大量に登場する。作品にこだわりを持ってきた尾田だからこそ、実写化へのハードルは高かったのも当然だ。

まだ観ていないのに、「アーロンパーク」に乗り込む瞬間が想像できるショット(@onepiecenetflix / Instagram)

まだ観ていないのに、「アーロンパーク」に乗り込む瞬間が想像できるショット(@onepiecenetflix / Instagram)

「僕がOKしなければ作品を世に出さないという条件」

しかしNetflixによる日本コミック(アニメ)の実写化といえば、「カウボーイ・ビバップ」「デスノート」といった過去にあまりいい評価を得られなかった作品が存在するのも事実。それでも尾田が実写化を踏み切らせたのは、尾田自身が「番犬」として製作を見張る覚悟だった。過去にも尾田は「妥協は一切していない」と世界の「ONE PIECE」ファンを安心させている。

「たくさんのマンガが実写化されてきましたが、失敗だらけの歴史ですよね。成功例を挙げられる日本人はいないと思えるくらいです。『ONE PIECE』ファンも、作品を知らない人も受け入れられるようなものを作れるだろうか」と、実写化映画の暗い歴史により心配もあったことをふり返る尾田だが、「ありがたいことに、Netflixは僕がOKしなければ作品を世に出さないという条件を飲んでくれました。僕はもらった脚本を読ませてもらって修正を渡し、すべてが適切な方向に実写化されるよう『番犬』であり続けました」と自身の徹底した姿勢と、それに応えたNetflixについて語った。

「イニャキが演じるのを見るとルフィにしか見えなくなる」

「撮影が終わっていても、僕が『世界に出すにはふさわしくない』と感じたことで撮り直してもらったシーンがたくさんあります」と何度もやり直しがあったことに触れつつ、「その一方で、脚本を読んだときに僕が『ルフィらしくない』と思ったようなセリフも、実写版でイニャキ(・ゴドイ)が演じるのを見るとルフィにしか見えなくなるという経験もありました」と、モンキー・D・ルフィ役のイニャキ・ゴドイの”ルフィらしさ”に驚いたことも明かした尾田。YouTubeでも、尾田はイニャキがいかにルフィにふさわしいかを語り、自らの手で麦わら帽子(ルフィの象徴)をイニャキに託している。

尾田もシャンクスのように麦わら帽子を託していた(@onepiecenetflix / Instagram)

尾田もシャンクスのように麦わら帽子を託していた(@onepiecenetflix / Instagram)

「(役者によるキャラクターの再現が)今回うまくいった」

「マンガの実写化は、単に原作をそのまま実写映像に再現すればいいわけではありません。登場人物の魅力、キャラクター間の力関係、多くの要素が存在します」と実写化の困難さについて説明した上で、尾田は「良質な実写作品においては、ストーリーに大きな修正は必要ありません。一番大切なのは、原作コミックの読者が納得するようなキャラクターを役者が再現できるかどうかなんです。今回そこが上手くいったと僕は思っているので、視聴者にも今作が受け入れてもらえたらうれしいですとNetflix版「ONE PIECE」に太鼓判を押した。

Netflix版ドラマシリーズ「ONE PIECE」はいよいよ本日8月31日から配信開始だ。