恋の花という異名を持つヘリオトロープは、古くから香水の香料として使用されてきた長い歴史を持っています。バニラやベビーパウダーなどに例えられる特有の甘さと柔らかさは、まさに女性らしさ満点の香りです。今回はそんなヘリオトロープの魅力に迫ると共に、ヘリオオロープを香料として使用したおすすめの香水を一挙ご紹介します。是非最後までご覧ください。
ヘリオトロープはどんな植物?
鮮やかな紫色が印象的なヘリオトロープは、南米ペルー・エクアドル由来の植物で、明治時代の中期ごろに日本へ伝わってきたと言われています。
開花の時期は初夏、この時期になるとヘリオトロープは一年でも一番強く香りを発します。古くから香水の原料として用いられているヘリオトロープは、和名では木立瑠璃草という名前で親しまれており、品種によって香りの強さや花の大きさなどに違いがあると言われています。
ヘリオトロープが恋の花と呼ばれるわけ
ヘリオトロープは巷では恋の花と呼ばれているのを、ご存知でしょうか。「献身的な愛」という花言葉をも持っているヘリオトロープは、大昔から恋の花として多くの恋人たちに愛されてきました。
その由来はギリシャ神話まで遡ります。ある日水の精であるニンフのクリティが太陽神アポロンに恋をしたのですが、アポロンはレウコトエ王女と密かな恋仲にありました。アポロンを慕うクリティは嫉妬に狂い、レウコトエ王女の父親である国王に2人の仲を密告してしまいます。
娘の秘密の逢瀬に怒ったレ国王はレウコトエ王女を生き埋めにしてしまいます。その事実を知り、自分のしでかしてしまった愚かな行為を恥じたクリティは、9日間地面に座ったまま空を通り過ぎるアポロンの姿を見続けていました。
ヘリオトロープはそんなクリティがいつのまにか変身してしまった花の姿であると言われています。これが、ヘリオトロープが恋の花と呼ばれるようになった所以なのです。
ヘリオトロープの香りの特徴
香水の原料として古くから世界的に愛されているヘリオトロープですが、その香りには一体どのような特徴があるのでしょうか。
香りの特徴①バニラのような香り
ヘリオトロープの香りは欧米では「チェリーパイ」、日本では「香水草」・「匂ひ紫」などと呼ばれています。その呼び名からも分かるように、非常に芳醇な風味のある香りの一つです。バニラの香りと言われることも多く、上品な甘さが女性に人気が高い香りのようです。
かつてはヘリオトロープの花から直接天然の精油を採っていたのですが、揮発性が高く収油するのが難しいとの理由から、近年ではヘリオトロープの香りを再現した合成香料を使用して香水が作られています。
香りの特徴②ベビーパウダーのような香り
バニラのような甘さに加えて、ベビーパウダーのようなパウダリーな香りを持っていることもヘリオトロープの特徴の一つです。決して粉っぽい乾いた香りではなく、どこか懐かしさが漂うような優しいベビーパウダーの香りです。
シッカロールというベビーパウダーの香りは、このヘリオトロープの花の香りを再現したものであるとも言われています。