不良漫画の人気の特徴は、喧嘩とコメディのバランス、ヒロインの感情移入具合とライバルだと思う。それがこのビー・バップ・ハイスクールの映画はよくできていると思う。そしてライバルの存在。この回は、中間、加藤の愛徳高校VS山田敏光(土岐光明)、藤本輝夫(白井光浩)率いる東工業高校の抗争となっている。
この2人のキャラクターの立て方が素晴らしく、強すぎて同じ街に住みたくないと心から思ってしまう。存在自体が凶器の藤本輝夫は弱っている人間に対しての追い込み方は人間とは思えないやり口でやってくる。一生逆らえなくするやり口は目を伏せたくなる。一生こんな人とは関わりたくない。
そしてタイマンでこいつに勝てる奴なんかいるのかと思わされるフットワークとパンチの速さは素人と思えない山田敏光。1人だけでもやっかいなのにこんな最強の2人が東工業高校にいる。とんでもない抗争に中間と加藤は巻き込まれて、同情すらしてしまう。不良としてのレベルの違いを刑事さんからも指摘されるという前代未聞のキャラの立て方は最高すぎる。
中間、加藤は絶望的な状況になってしまう。そんな目の離せないストーリーがこの令和5年に見られて時間を忘れて最後まで見てしまった。男は結局喧嘩が好きというのがどうしてもあるのかもしれない。私が物心ついた時には権力の高さは喧嘩の強さだった。喧嘩の強い奴は皆から慕われて、何故か強い奴に限って弱い者には手を出さない、勉強もスポーツも出来て人格者でもあった。そういう番長を学生生活の時に見ていると、やはり憧れてしまい夢で自分がその人になった程で学生生活を送っているのを夢見ながら生活していた。
大人になってからは暴力に対しては全く無縁の環境下になるが、どこか男は暴力に憧れを持ち不良漫画や格闘技の強さに魅了されてしまう。社会に出ても仕事のできる奴、芸人でも優秀な人はどこか怖さがあったりもする。それは皆学生時代に影響を受けた不良漫画をどこか再現しているのかもしれない。