「フォロワーシップ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?フォロワーシップは、現代の組織運営を考えるうえで欠かせなくなっている概念です。フォロワーシップを学ぶことで、より一層、組織に貢献する力を身につけられることが期待できます。今回は、徐々に日本にも定着し始めたフォロワーシップの特徴や、その実践方法について確認していきましょう。

リーダーシップとフォロワーシップ

「リーダーシップ」という言葉は日本でも定着している言葉で、指導力やカリスマ性を持った1人がチームを引っ張っていく力のことを指します。一方「フォロワーシップ」とは、リーダーを補佐するポジションの人がリーダーや組織に対して能動的に貢献するための行動のことです。

まだ役職のない20代の若手ビジネスパーソンにまず求められるのが、上司、先輩、もしくは同僚などをフォロー(手助け)する力です。それが仕事の実績や自分の評価につながります。

また将来的に優れたリーダーを目指すにしても、フォロワーシップを身につけることは、組織を円滑に運営するうえで非常に有効だと言えます。

5つのフォロワータイプの特徴

フォロワーシップを身につけるためには、フォロワーの特徴をよく知ることが必要です。フォロワーシップの提唱者であるカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授は、その著書『The Power of Followership』の中で、組織にいる人を以下の5つのフォロワータイプに分類しています。

  1. 模範型
  2. 孤立型
  3. 順応型
  4. 消極型
  5. 実践型

1.模範型

模範型のフォロワーは積極的な言動が特徴で、組織の機能を活発化させてくれる存在です。良いフォロワーシップを身につけている人はここに分類されます。フォロワーシップだけでなく、積極的、主体的に動けるのでリーダーとしての素養もあり、将来のリーダーとしても期待できます。

2.孤立型

「批判はするけれど行動は消極的な人」を孤立型と言います。その言動によって周囲から孤立しがちで、組織の中では連帯感を共有しにくい傾向にあります。

しかしながら批判的な視点は、見方を変えれば課題を見つけ出す力を兼ね備えているとも言えます。このような孤立型とは、その特性を理解し、現状を変えるためのアドバイザーとして接するといいでしょう。

3.順応型

順応型は、あまり自発的に意見や行動をしないタイプであり、「言われたことをそのまま実行するイエスマン」とも言えます。

リーダーがワンマンだった場合、何でも指示通りに従う扱いやすい人と評価されがちですが、そうした人が必ずしも組織や仕事に良い結果をもたらすとは限りません。

順応型フォロワーが多すぎると、組織としての多様性が損なわれることになり、リーダーとそれに従うイエスマンばかりの独裁的な組織になる危険性があります。

4.消極型

消極型のフォロワーは、その名の通り「意見や組織のための行動などはあまり積極的に行わない」「存在価値の発揮の仕方がわからない」といったように、組織にも仕事にも消極的な人のことを言います。5つのタイプの中で組織への貢献度が最も低いのが消極型になります。

仕事は指示されたことを最低限行うのみで、主体的に行動することがありません。消極型の人が多い組織は、リーダーとの信頼関係が構築できていないか、もしくは会社に不満があるといったことが考えられます。

5.実践型

上記の4つの中間型となるのが実践型です。実践型は仕事だから……ということで割り切った行動をする傾向があります。したがって、自分に関係のある領域の仕事に関することならば、意見を言い自ら行動します。

しかし仕事が自分(チーム)の業務の範囲外となると消極的で、フォロワーシップを発揮しない場合も少なくありません。ただ自分の範囲内の業務に対しては、堅実で正確にこなすといった特徴があります。