給料から毎月厚生年金保険料が天引きされる会社員と違い、自営業者やフリーランスの人は自分で国民年金保険料を払わなければなりません。国民年金の保険料納付は国民の義務ですが、できることなら少しでも保険料を安くしたいと思うのではないでしょうか。今回は一定期間分の保険料をまとめて払うことで保険料が安くなる前納制度と、1ヶ月分を早めに払う早割制度を紹介します。

国民年金保険料の納付期限は翌月末

国民年金保険料の納付期限は、法令で「納付対象月の翌月末日」と定められています。つまり、本来であれば9月分の保険料は10月の末までに払うのですが、まとめて前払いをすると割引が適用される制度があります。もちろん保険料が安くなっても将来もらえる年金額は変わりません。

前納すると最大約1万5,000円安くなる

口座振替による前納

国民年金の前納割引制度とは、保険料をまとめて前払いすることで、割引が適用される制度のことです。まとめて支払う期間によって、「6ヵ月前納」「1年前納」「2年前納」の3種類があります。支払いの方法には「口座振替」と「現金払い」がありますが、まず口座振替からご紹介します。

2020年度の国民年金保険料は1ヵ月1万6,540円です。前納期間による割引額を表1に示しています。

表1.2020年度の振替方法別割引額

前納期間による
1回の納付額
6ヵ月前納 1年前納 2年前納
9万8,110円 19万4,320円 38万1,960円
本来納付額 6ヵ月分 1年分 2年分
9万9,240円 19万8,480円 39万7,800円
割引額 1,130円 4,160円 1万5,840円

表を見てわかるように、1年前納では4,160円、2年前納では1万5,840円保険料が安くなります。

なお、口座振替での前納の申し込みは、1年前納と2年前納、そして6ヵ月前納(4月~9月分)に関しては前年度の2月の最終営業日が締め切りとなっているので、申し込みを検討している人は早めに申し込むようにしましょう。なお、2020年度の6ヵ月前納(10月~翌3月分)の締め切りは8月31日でした。

現金による前納

前納は口座振替だけでなく、現金払いでも行うことができます。前納の現金払いによる割引額は表2のようになります。

表2.2020年度の現金払い前納の割引額

前納期間による
1回の納付額
6ヵ月前納 1年前納 2年前納
9万8,430円 19万4,960円 38万3,210円
割引額 810円 3,520円 1万4,590円

割引額は口座振替の方が大きいですが、現金での前納は口座振替に比べ支払い納期が遅めに設定されています。例えば2020年度では、1年前納、2年前納と6ヵ月前納(4月~9月分)の支払いが4月30日まで、6ヵ月前納(10月~翌3月分)の支払いが11月2日までになっており、10月からの6ヵ月前納は現金払いであればまだ間に合います。

また、現金払いでは専用の納付書が必要になりますが、任意の月から当年度末、または来年度末までの前納も認められています。つまり、今月から前納を開始することもできるので、興味のある人は検討してみましょう。

納付を1ヶ月早くする早割

国民年金保険料の納付期限は翌月末とご紹介しましたが、1ヵ月早く当月末に口座から引き落とすことで、月々の保険料を50円、年間で600円安くすることができます。これを「早割」といいます。

申し込んだ月に前月の保険料と当月の保険料の2ヵ月分払う必要はありますが、納付対象月が1ヵ月ずれるだけでこれまでと同じように毎月支払うだけなので、手軽に利用できる制度です。

 

計画的に前納のお金を貯めることも選択肢の1つに

国民年金の保険料が安くなる前納・早割制度をご紹介しました。1年や2年前納となると割引額も多くなりますが、その分前納するお金もまとまった金額が必要になります。いますぐ前納を利用することは難しくても、前納分の金額をコツコツ貯めていくなどして、計画的に割引制度の利用を検討してみましょう。

 

文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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