さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は指輪をつけているとプライベートな質問をされて困っている女性のお話です。
Q. ただ指輪をつけているだけなのに「結婚したの?」と聞かれます…
私は最近、彼からもらった指輪を身に着けて仕事をしているのですが、今まで指輪を付けてこなかったからか、職場の人や取引先の人から「結婚したの?」ときかれます。
実際は違いますが、指輪をひとつ身に着けただけでこんなにも聞かれるものなのかと驚いています。私はプライベートのことはあまり話したくはなく、実際結婚した際に根掘り葉掘り聞かれるのではないかと心配になっています。なら指輪をつけなければいいのでは? と思うかも知れませんが、お気に入りの指輪ですし、外すとネガティブな話題になりそうでそれも嫌です。
もし、色々細かくプライベートのこと聞かれた場合、ハラスメントとして認定することは可能なのでしょうか?また、結婚した際の報告(事務的なもの以外に関しても)は、義務なのでしょうか?(京子/32歳/コンサル業)
A. 状況によってはハラスメントになりうる。自信をもって身に着けて!
京子さんは、コンサル業界に身を置いている状況ですから、ドライな人間関係であるイメージかもしれません。しかし、たしかに、彼からもらった指輪などをしている、服装がいつもより派手、高価なネックレスをしているなどを、取引先やお客さん、上司、場合によっては部下から指摘され、あまりよく思わない事例は多く相談があります。「結婚したの?と」と直接的なアプローチは少ないにせよ、プライベートと仕事との切り分けがドライな業界であればあるほど、仕事中にプライベートなことに対する介入があると違和感を感じて当然ではないかと思います。
実際結婚した際に根掘り葉掘り聞かれるのではないかと心配する以前に、弁護士の立場として思うのは、周囲からのハラスメントに委縮してしまい、自分ができないことができなくなるほうがよほど問題ではないでしょうか?というのは、指輪が気に入っているなら気に入っているで、それは自信をもってつけていくべきだし、でないと指輪の意味もないと思います。状況によっては当然ハラスメントになりますし、また、事務的なもの以外で、積極的に婚姻歴を申告する義務があるわけでもありません。離婚歴もしかりです。委縮することなく、まずは好きなように行動したほうが公開しなくていいと思うし、そうすべきだと思います。そして、問題が生じたら、しかるべき責任を追及するべきか考えればいいのだと思います。