『Wicked』タイトルロゴと、アリアナ・グランデ『Wicked』タイトルロゴと、アリアナ・グランデ

アリアナ・グランデら出演の映画『Wicked(原題)』の製作が、全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキの影響で中断されたことが、Variety誌によるスティーブン・シュワルツのインタビュー(7月19日掲載)で分かった。なお、映画の公開予定日には影響しない予定とのこと。

日本でも人気のミュージカル「ウィキッド」の映画化となる『Wicked』にはシンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデなどが出演し、『Part1』『Part2』の2作に分けて公開予定。2作分の製作完了が迫っていたが、ストライキの影響で製作が中断された。製作中断を明かした作曲家スティーブン・シュワルツは、オリジナルミュージカル「ウィキッド」の音楽と作詞を手がけ、映画版にも携わっている。

シュワルツはインタビューで「どちらの作品もあと10日ほどで完成するところだったので、ストライキのタイミングについては、正直とても辛い。しかし一方で、ストライキを行なっている労働組合には私も大いに共感しているし、彼らを支持していると宣言してもよい」と、苦悩をにじませながらストライキへの理解も示した。

『Wicked』の監督であるジョン・M・チュウ(『クレイジー・リッチ』『イン・ザ・ハイツ』監督)も、自身のツイッターおよびインスタグラムのストーリーを通じて、作品の製作がどれほど完了間近だったかを述べた。チュウは「あと数日で終わるというところですべてを中断するのはとても辛いことだけど、また戻ってきます!」と製作再開への意欲を見せた上で、ストライキの渦中にいる『Wicked』の俳優達については、「我々はあなた達を支持している」とこちらもストライキへの支持を表明している。

またチュウのインスタグラムの投稿によると、この製作中断は『Wicked』の公開予定日には影響しないとのこと。(『Wicked Part1』は2024年11月27日、『Wicked Part2』は2025年11月26日にそれぞれ全米公開予定。日本公開日は未発表。)

全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキは、Netflixやhuluといった動画配信ビジネスが拡大したことにより映画が人々に届く形は変わっているにもかかわらず、俳優らへの報酬の支払いが不十分であるとの主張に基づき行われている。この主張についてはシュワルツも共感していると発言しており、「なるべく早く、フェアな形でストライキが落ち着くことを願っている」とストライキの穏便な収束を望んだ。

「ウィキッド」は『オズの魔法使い』に登場する”西の悪い魔女”の過去を描く人気ミュージカルで、映画版には、後に”西の悪い魔女”になるエルファバ役にシンシア・エリヴォ(『ハリエット』『ピノキオ(2022)』)、”北の良い魔女”ことグリンダ役にアリアナ・グランデがキャスティングされているほか、ジェフ・ゴールドブラム(『ジュラシック・パーク』シリーズ)や、今年アカデミー主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)も出演予定。

シュワルツによると、キャストの歌声はもちろん、メイクや撮影セットによる世界観の演出も大きな魅力となっているそうで、『オズの魔法使い』の世界観を再現した美術のクオリティはシュワルツの予想を超えてすばらしかったという。予定通り公開予定の『Wicked』2部作に大いに期待したい。