――ということは、母親と同じ自殺ほう助の疑いではないということですか。
城下 別の容疑で再逮捕される可能性もありますね。そうなると歌舞伎界はかつてない衝撃を受けます。発端となったセクハラ・パワハラ報道が出た際に、すぐに謝罪すべきところがあればきちんと謝罪して、釈明すべきところがあれば釈明すべきでした。座長として弟子を指導したり、誰を起用するか厳しい判断を下したりすることは当然のことですから、誤解があったのかもしれない。
セクハラに関しても行き過ぎた行動があったかもしれないが、男性に対して好意があっての上でやってしまったことなのであれば、それはそれで明らかにしてもよかったのではないでしょうか。もう少し時代に合った広い視野で考えてほしかった。
――歌舞伎を運営する松竹は、猿之助容疑者は「10月まで休演する」と発表していましたが、これは10月どころか相当時間がかかりそうですね。
城下 かかりますね。以前、僕は「猿之助という名跡を一刻も早く返上させるべき」と書きましたが、このままだと名跡に大きな傷がついてしまいます。
歌舞伎界には「團十郎」と「菊五郎」というビッグネームがあり、もともと「猿之助」はそれほど大きな名跡ではありませんでした。それを先代の猿之助で現・市川猿翁さんがスーパー歌舞伎の人気によってビッグネームに仕立て、さらに今の猿之助容疑者が歌舞伎界のドル箱となるまで育てたのです。努力によって築き上げたこの大きな名跡を今後も受け継ぎ、歌舞伎界に残していくためにも、すぐに手を打たなければ。
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