東京都の港区立みなと科学館では、7月12日(水)~9月10日(日)の期間、2023夏の企画展「科学で楽しむ妖怪展」を開催している。
不思議な存在や現象を科学の視点で探究
妖怪は、昔から化け物、怪異、幽霊、妖(あやかし)などとも言われ、現代においても依然として人々の関心を集めている。「科学で楽しむ妖怪展」では、妖怪や妖怪のしわざとされてきたさまざまな事象について、古生物学、自然科学、哲学といった科学館ならではの視点から紹介する。
具体的には、動物の化石や骨格、身近な生き物である昆虫、火山や雷といった自然現象の比較による観察、さらに人間の脳や心の働きといった観点から検討し、それにより、来館者は科学的な視点を持ち、不思議を見つけ好奇心を持つことの楽しさを体験することができる。
第一章【妖怪ってなんだろう?】
第一章【妖怪ってなんだろう?】では、5mにおよぶ絵巻物「百鬼夜行」を原寸大パネルで展示し、多種多様な妖怪が行列をなしている様子を間近に見ることができる。
また、妖怪を科学で解明した「妖怪博士」井上円了(1858年~1919年)を紹介。同氏の著書「妖怪学講義」や愛用品等も展示する。
第二章【科学の視点で妖怪を考えよう】
第二章【科学の視点で妖怪を考えよう】では、妖怪のモデルになった動物や化石の骨格を観察し、どのような特徴が妖怪のイメージにつながったのか、古生物学の視点で考察。妖怪の中には顕微鏡を使った観察によるスケッチが元になったといわれる「虫の妖怪」もあることから、当時の木製顕微鏡(複製)も展示する。さらに、火山の噴火や洪水、雷、蜃気楼などの自然現象がもとになった妖怪の一例を取り上げ、実験装置や映像を活用して紹介する。
心霊現象や怪奇現象を脳や心の働きといった科学の視点で探究するコーナーでは、誠文堂新光社の月刊誌『子供の科学』で連載中の「ミステリーキャッチャーズ」とコラボレーション。人気漫画で紹介された内容を体験できる展示もある。
第三章【身近なふしぎを探究して、あなたも妖怪博士!】
第三章【身近なふしぎを探究して、あなたも妖怪博士!】では、港区にある妖怪にまつわる伝承を地図にした「みなと妖怪マップ」を展示。来館者から身近な地域の妖怪にまつわる情報や目撃情報を募集して展示する「妖怪目撃情報コーナー」も設置する。
そのほか、写真撮影もできる大型のトリックアートパネルによる体験型の展示や、
来館者が描いた妖怪のイラストが全高約3m、幅約4mの巨大なスクリーンの中を縦横無尽に飛び回る、テーブルサイエンス「みんなで作る新・妖怪百鬼夜行」も。
全7つのミッション(クイズ形式)のワークシートを配布して、すべてのミッションをクリアした人にはスタンプを押印し、「妖怪認定証」として持ち帰りできる企画も実施する。