そんな食事の席で、おどおどと給仕をしていた田邊教授の妻の聡子(中田青渚)。田邊の後妻となるために学校を中退させられ、女中にはキツくあたられ、継子たちは懐かず、結婚相手が田邊とかほんとかわいそう……と思ったら、寿恵子に打ち明けられるふっかふか枕エピソード。なんだ、聡子ちゃんと田邊教授、ラブラブじゃん! 大きな枕をかかえて街を歩く教授、枕だけ人力車に乗せちゃう教授、ふっかふか枕を妻にも使わせて、髪が乱れてもかまわないと言う教授。そりゃあ寿恵子と一緒に私も「ぬおー!」と萌え転がりますよ。まさかここで新しい田邊教授の顔、「かわいい」がプラスされるとは。なんなの田邊教授。かと思えば、シーボルトの愛弟子の孫・伊藤孝光(落合モトキ)からは、戸隠草が新種と認められるかをめぐって「泥棒教授」呼ばわり。人間というのは本当に多面体ですね。

 そんな田邊教授が万太郎に突きつける、「私のものになりなさい」。学歴がないために、新種の植物を見つけても発表できない万太郎を、自分のプラントハンターとして雇うと。結局は自分のために万太郎を利用するのかー、タイムスクープハンターがプラントハンターを雇うのかー、などとつっこむ余裕がないくらい、やっぱりこの人はこわい。でも、万太郎が今まで竹雄(志尊淳)にやらせてきたこと・これから寿恵子にやらせるだろうことも、プラントハンターとあまり変わらないのでは。これまで万太郎が思う存分草花の研究に打ち込めていたのは、竹雄の献身的な助けがあったからだけれど、彼の研究結果には竹雄の名前は残らない。そういうことがすっぽり頭から抜けちゃってるの、さすがの万太郎。

 寿恵子も、ちゃんと怒らないと……でも彼女は、大丈夫そうですね。「わがまま」「ちゃんと布団で寝ろ」と、竹雄からの申し送りを元に、万太郎にガンガン言えるのは彼女だけ。教授の申し出を断り、岩に穴を開けながら進むしかないと落ち込んでいる万太郎を「ツルハシが要りますね!」「岩に見えても、かるやきかもしれませんよ!」と励ましながら一緒に冒険してくれるのは、寿恵子ちゃんしかいない。万太郎はもっと彼女に感謝しないと。