自営業やフリーランスの方は自分で国民年金の保険料を納める必要があります。国民年金から支給される老齢基礎年金は将来の生活の収入の柱になるので、できるだけ全期間納めるのが理想です。しかし、2020年の新型コロナウィルスの影響で、月々1万6,540円(2020年度)の負担が大きく払えないと感じる人もいるのではないでしょうか。今回は保険料を払うのが苦しくなった人が利用したい国民年金の免除制度と猶予制度をご紹介します。

国民年金保険の免除制度とは

(写真=PIXTA)

国民年金の保険料は20歳から60歳までの40年間払うことで将来老齢基礎年金を満額受給できます。保険料を払わない期間は「未納期間」となり、この未納期間に応じて年金額は減りますし、未納期間が長くなり受給資格期間が10年未満だと、そもそも将来年金をもらうことができません。

しかし、生活が苦しくて国民年金保険料を払えない時期もあると思います。そんな時に利用したいのが、免除制度と猶予制度です。

まず免除制度ですが、前年の所得が一定額以下であったり、失業などで国民年金の保険料を納めることが経済的に困難な場合、自分で申請し承認されると保険料の納付が免除になります。免除になる額は所得に応じて「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類があります。

保険料を免除された期間は、老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされるほか、老齢年金を受け取る際に2分の1の金額(税金分)を受け取ることができます。例えば、2020年度は国民年金保険料を40年間納付した場合78万1,700円の老齢基礎年金を受け取れますが、仮にこの40年間全額免除を受けた場合、もらえる年金は半額の39万850円になります(未納期間が40年だともちろん0円です)。

また、保険料の免除期間中は、ケガや病気などで障害が残った、あるいは死亡した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができるのも大きなメリットです。

国民年金保険の納付猶予制度とは

(写真=PIXTA)

20歳から50歳未満の方で、前年の所得が一定額以下の場合には、本人が申請し承認されることで保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます

納付猶予の期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間には含まれ、また万が一の時は障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れますが、免除期間と違い老齢基礎年金の受給額が増えることはありません。

保険料は本来納付期限(納付対象月の翌月末日)から2年を経過すると納めることはできなくなりますが、免除期間・猶予期間はともに10年以内であれば後から追納することができ、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることができます。

新型コロナの特例

(写真=PIXTA)

これまでご紹介してきた免除制度と猶予制度は、原則として前年の所得が低い方や失業した方が対象なので、失業以外でいきなり収入が減った人は利用できませんでした。しかし、2020年5月1日から、新型コロナウィルスの影響で国民年金保険料の納付が困難になることが予想される人向けに、臨時特例免除申請の受付が開始されています。

この特例の対象となるのは、以下の2点を両方満たす人です。
1)2020年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと
2)2020年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること

免除または猶予期間中の資格期間の取り扱いや年金額への反映は、上記でご説明したものと同じになります。

未納はNG!免除・猶予を利用しよう

(写真=PIXTA)

国民年金保険料の免除制度・猶予制度と、2020年5月から受付が開始されている新型コロナウィルスで収入が減った方への特例をご紹介しました。いずれにしても、未納のままにしておくメリットは1つもありません。収入が減って保険料の納付が難しくなったら免除・猶予制度を活用し、自分の将来の年金を守るようにしましょう。

文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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