言ってしまえば勝ち確状態から始まる戦闘シーン、この戦闘シーンの表現が他マンガに類を見ない。クラウスが相手にするモンスターは、基本的に遥か格上ばかり。しかしこの「自動戦闘」、自身の力が強力無比にUPするスキルではない。モンスターとのレベル差はそのままに、「戦闘の最適化」のみで、そのレベル差を覆すのだ。
相手の攻撃前に回避を行い、動きを知っているかのように導線上に剣を置く。まるで未来予知をするかの如く縦横無尽に動き回るその描写は圧巻。また主人公の理解不能の行動の後に理由が付いてくるその戦闘は、一手先が全く読めず、ただ力押しで勝利を確定するバトル展開とは全く別物。幾重の偶然が重なって勝利したかのように見えるこの戦闘シーンは、必見だ。
また本作品では、割とシリアスな戦闘シーンも外野がどたばたと騒ぎ立てるコメディタッチで描かれている。登場キャラクターたちは全員明るく元気であり、どこかバカであり、等しくヌけている。そのため作品自体にカラッとした読後感があり、最後まで楽しく読む事ができる。是非、ご一読頂きたい。