ジュエリーを身につけるときはシンプルに|本当にすてきなパリのひと【Sisi Joiaデザイナー・セシル】

昨年パリに移住したライターの鈴木桃子さんが、街中で見つけたすてきなパリジェンヌをスナップする新連載がスタートします!

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「すてきなパリジェンヌは佇まいでわかる」と、パリ暮らしで気付き始めたこの頃。

移住当初は、この子もかわいい、あの子もおしゃれ!と、パリジェンヌを見ては目で追いかけていたのですが、徐々に、すてきな人柄や充実した暮らしぶりって佇まいに滲み出ているものなんだなと感じるようになりました。

華美ではないけれど、シンプルなスタイルの中にきらりと光るセンス――そんなすてきな人のエッセンスを探るべく、パリの街角で出会ったパリジェンヌたちにプチインタビューを敢行します!

 

シンプルなファッションに光るジュエリー

今回は、日本でも人気上昇中のジュエリーブランド『Sisi Joia(シシ ジョイア)』のデザイナーであるセシルさん。

ブルーのTシャツにブラックのベストとスカートを合わせたシンプルなファッションに、ヴィンテージガラスのピアスやミニマムなバッグが目を惹きました。

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今日のファッションのポイントは?

セシルさん(以下敬称略):小物を引き立てるシンプルなスタイルです。スカートは、母が着ていたフランスの老舗ブランド『Cop Copine(コップ コピーヌ)』のもの。ヴィンテージガラスのピアスは私のブランドSisi Joiaです。

Tシャツの下には、10年前に母から受け継いだゴールドのチェーンネックレスを忍ばせています。ゴールドはニュートラルなカラーで何にでも合わせられるアイテムですが、主張のあるピアスとネックレスを同時に身につけることはしないようにしています。

 

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―いつもバッグの中に入れているものを教えてください。

セシル:Faneのバッグは小さいので、財布や鍵、身分証代わりのパスポートとリップスティックのみ。コスメを入れているサブバックも一緒に持っています。

子どもの頃好きだった絵本『すてきな三にんぐみ』のイラストが描かれたサブバッグは、ポンピドゥー・センターのミュージアムショップで買ったの。ジバンシーのサングラスも必需品!

―カジュアルなお出かけシーンで少しだけドレスアップしたい時、どんなことを心がけていますか?

セシル:あまり過剰に装わないように心がけています。少しエレガントだけど、TPOに合わせてあまりシックになりすぎないように。

たとえば、フラットシューズにロング丈スカート、またはカジュアルなパンツにヒールを合わせるといったように、バランスを大事にしています。

何かもう少し足りないなと感じたときは、シルバージュエリーを選ぶことが多いですね。シルバーの光沢感がスタイルを引き上げてくれる気がするから」

―パリジェンヌのジュエリーの装い方には、どんなルールがあると思いますか?

セシル:「シンプル」を心がけること。私のアトリエに来てくれるパリジェンヌたちは、みんなそう言いますね。

ジュエリーを身に着けるときは、ファッションは落ち着いたトーンでシンプルにミニマルに。

そして、ピアスとネックレス、リング、ブレスレットなど、主張の強いものを一緒に身に着けない。そんな暗黙のルールがある気がします。ピアスとネックレスのどちらか、リングとブレスレットのどちらか、そんな感じですね。

 

友達に背中を押されて立ち上げたジュエリーブランド

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―Sisi Joiaのジュエリーを作るとき、どんなことにこだわっているのでしょうか?

セシル:ただ身に着ける美しいものではなく、ファッションアクセサリーとして楽しめるジュエリーを作りたい。そんな思いを持って作っているので、ファッションの一部になりうるかどうかが大事なんです。

ゴールドやシルバーのジュエリーのデザイナーとは異なる視点かもしれないですね。ファッション性のある魅力的なジュエリーを作ることを常に心がけています。

―ジュエリー作りで、大事にしているプロセスはありますか?

セシル:私のジュエリー作りは、蚤の市でヴィンテージのビーズを見つけることから始まります。そして、これがもっとも重要で特別なプロセス。

だから、気を引き締めて、朝いちばんに蚤の市に行くようにしています。心を開いて好みのビーズを選んで、そして、このビーズがどのようなジュエリーになるか想像してみるの。

 

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―A.P.C.に勤めていたそうですが、ジュエリー作りを始めようと思ったきっかけは?

セシル:若い頃は、さまざまな仕事を経験しました。大学を卒業して広告業界で2年間働いた後、A.P.C.で数年ほど働きました。

その後子どもが生まれて、しばらく仕事を休んで子育ての時間を取ることにしたんです。でもそんなとき、偶然に美しいヴィンテージビーズと出合ってジュエリー作りを始めることになったんです。

当時、私たち家族は蚤の市の近くに住んでいて、アパルトマンのカーテンタッセルを作るためにヴィンテージビーズを探しに出かけました。そこで見つけたヴィンテージビーズにひと目惚れして、カーテンタッセ・ではなく、代わりに作ったのがブレスレットだった。そこから、私の中でジュエリー作りが始まりました。

 

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―Sisi Joiaとしてブランドを始めた経緯を教えてください。

セシル:作ったジュエリーを友人たちに見せたら、とても興味を持って応援してくれました。

私がブランドを立ち上げたらうまくいくだろうと確信してくれて、私もそんなみんなの言葉に後押しされてSisi Joiaをスタートすることに。そして、友人たちはブランドイメージを伝えるLOOK撮影やモデル、運営の手伝いなど、みんなたくさん助けてくれました。

 

全力で仕事をこなした分、子どもとの時間を楽しむ

―いまは、どのようなタイムスケジュールで日々をおくっていますか?

セシル:私の毎日は、かなり予定が詰まっていて(笑)。6歳の息子がいるので、朝8時30分に彼を学校に連れて行くところから始まります。

その後、9時15分頃にアトリエに来て、午後3時30分頃まで働きます。そして一度家に戻り、また学校まで息子を迎えに行きます。

夕方の4時30分頃からは、息子と図書館に行ったりして一緒に遊んでいますね。夫が家にいたら一緒にスポーツをしたり、家でレゴ遊びや本を読んだりすることも。

夫は教師なので、ある程度時間があるの。料理はたまにするけれど、たくさんはしない。夕食はピカール(冷凍食品スーパー)に頼ることも多いですよ(笑)。

 

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―仕事と子育ての両立するため、努力していることはありますか?

セシル:アトリエにいるあいだは、とにかく生産性を上げるために全力で仕事をこなします。そうすることで、夕方には心置きなく息子と夫と一緒に過ごす時間を作ることができるから。

でも息子を寝かせた後、再び仕事をすることもよくありますね。疲れることもあるけれど、翌朝、やらないといけないことが山積みなのは避けたいタイプなので…。

―日々、幸せな自分であり続けるために取り組んでいる日課はありますか?

セシル:日々、自分を幸せにしてくれるのはやっぱり仕事。それと、図書館で本を読むこと。

その静かで落ち着いた時間が、とても幸せな気持ちにさせてくれます。あとは、毎日ではないけれど、時間があるときには散歩に行くようにしていますね。

 

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気取りのない人柄で、朗らかに語ってくれたセシル。仕事と子育ての両立に追われながら、忙しくも充実した暮らしぶりが伝わってきます。

自分の感性で素直に動きながらも、大切な人たちの言葉を信じて柔軟に進み続ける。そんな人生を切り開くための大事なことを教えてもらったような気がします。

 

■ブランド情報

Sisi Joia