会社員のための上乗せ年金のひとつとして注目を集めてきた厚生年金基金ですが、今では新規に設立することができず、今ある基金も解散するか確定給付企業年金へと移行することが促されています。

もしも移行された場合、果たして現在厚生年金基金に加入している人や、昔加入していた人の年金はどうなるのでしょうか。

厚生年金基金は企業年金のひとつ

企業年金は大きく次の3つがあります。

・厚生年金基金
・確定給付企業年金
・確定拠出年金(企業型)

このうち、厚生年金基金は受け取れる額が確定している企業年金制度で、厚生年金の一部を代行する特徴がありました。

しかし法改正のため新規設立ができなくなり、現在ではほとんど実施している企業はありません。

厚生年金基金は今後なくなる?

厚生年金基金が他の企業年金と異なる点は、老齢厚生年金の給付を一部国に代わって代行し、さらに独自に上乗せ給付を行っている点です。基金に加入している企業で働く従業員にとっては、納める保険料が増えるなどの負担がないのにもかかわらず、金額が上乗せされた年金を受け取れるためお得になります。

厚生年金基金は長い間労働者の老後を支えてきましたが、社会情勢の低迷などで、代行部分の積立不足が生じるようになりました。代行部分はそもそも会社員であれば加入しなければならない公的年金なので、この部分を払えないと公的年金に不平等が生じてしまいます。

このような問題を受け、厚生年金基金の存続の基準が厳しく見直された結果、2014年4月以降は新規に厚生年金基金を設立することができなくなりました。また、今ある基金も解散するか確定給付企業年金への移行が促されています。

今まで掛けてきた年金はどうなる?

では、これまで厚生年金基金に掛けてきたお金はどうなるのでしょうか。

前述の通り、今後の基金は解散するか別の企業年金(確定給付企業年金)に移行することが推奨されています。基金を解散することで、これまで国に代わって基金が行ってきた年金給付の役割を国が行うことになるため、受け取れる年金額に不足が起こることがありません。また、別の企業年金に加入することで、これまで基金に加入して受け取れた上乗せ部分を受け取れるようになります。

よって、どちらのケースにおいても、将来他の会社員と同じように厚生年金を受け取ることができます。「基金が解散してしまうと、これまで基金に納めていた保険料が無駄になって、将来受け取れる年金の金額が変わるのでは……」といったこともないので、安心してください。