佐々木セルロイド工業所は、2022年9月にクラウドファンディング向けに開発・販売したセルロイド製メガネ「SASAKI」を、メガネ・補聴器小売チェーン「メガネの田中」の本店(広島)と銀座店(東京)の2店舗にて、6月15日(木)から販売している。

加工が難しいセルロイド製の眼鏡を製造

日本製メガネの95%以上は、福井県鯖江市で造られている。鯖江産メガネの魅力は、職人が一本一本手作業で造ることでしか得られない抜群の掛け心地と艶やかな仕上がりだ。


佐々木セルロイド工業所は、プラスチックメガネフレームのパイオニアとして、創業以来約100年、鯖江市でデザイン・企画から完成品製造までを手がける一貫メーカーだ。長年で培われた技術と手法で素材の魅力を最大限に引き出し、品質とデザインを両立した製品作りでユーザーを笑顔にすることをモットーとしている。

その職人技や技術を知ってもらうために、同社の技術を集結したアイウェアブランド「SASAKI」を開発。素材には、プラスチックメガネとして使われていた最古の素材であるセルロイドをあえて採用した。加工の難しさから、今では鯖江でも製造可能な工場が同社を含めてわずか数社に減少しているため、「SASAKI」を通してセルロイドのメガネの掛け心地の良さを改めて伝えていくことを目指している。

職人技が光る、肌に負担のない滑らかな表面磨き


同社では、製造工程の中で最も熟練の技が必要な“磨き”に多くの職人が従事し、メガネを艶やかに磨きあげている。創業以来この“磨き技”を研究し続け、時間をかけて独特の技術を体得しており、今では世界中の著名なブランドからメガネ・サングラスの製作の依頼を受けている。

セルロイドは素材が固く、滑らか・艶やかに仕上げるためにアセテートの約130%の時間をかけて磨く必要がある。「SASAKI」も、磨き専門の職人が手間をかけて快適な掛け心地を実現している。


また、通常使われるアセテート素材のメガネでは、金属の芯をテンプルに刺して強度を出すが、セルロイドは固いため、芯を使わずに強度を出すことが可能。“ノー芯”製法は、セルロイド本来の美しさを金属の邪魔なく堪能できるのが魅力だ。

特に濃淡のある色味のセルロイドは、テンプルの部分が透けて見えるのが美しい。同社のデザイナーが綿密に設計し、職人が手で丁寧に加工することで、芯を使わずとも強度を出すことを実現した。