3年越しに初来日公演を行ったシグリッド © Yaona Sui3年越しに初来日公演を行ったシグリッド © Yaona Sui

2023年5月25日(木)、東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにて“北欧ノルウェーのポップ・センセーション”として知られるシンガー・ソングライター=シグリッドによる初来日単独公演が開催された。同公演のライヴ・レポート、そしてセットリストが公式プレイリストとして公開された。

★シグリッド来日公演プレイリスト:

来日公演ライヴレポート

3年越しに叶ったポップスの祝典!超満員の会場を魅了したシグリッドによる貴重な一夜!

シグリッドは2016年発表のシングル「Don't Kill My Vibe」をきっかけにレコード契約のオファーが舞い込み、瞬く間に「グラストンベリー」「ラティチュード」などの大型フェスティバルへ出演をはたし、BBC(英国放送協会)が選ぶもっとも活躍が期待される注目の新人リストの2018年度版「BBC Sound Of」では堂々の第1位に選出されるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで2019年のデビュー・アルバム「サッカー・パンチ」(本国ノルウェーで初登場1位を獲得し、全英初登場TOP5入り)のリリースを迎えた。

そんな世界的に話題の絶えなかった彼女は、実は2020年5月に開催される「GREENROOM FESTIVALʼ20」、そして同じタイミングでの単独公演のために来日が決定していたのだが、新型コロナウイルスの影響でやむなく見送りとなった。

その後、2022年5月に意欲的なセカンド・アルバム「ハウ・トゥ・レット・ゴー」(本国ノルウェー初登場1位、全英2位)を発表し、海外ではアリーナを埋めるほどの人気を誇るまでに成長した彼女が文字通り満を持して、「GREENROOM FESTIVAL'23」および記念すべき初単独公演を敢行するために日本にやってきた。渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで行われた単独公演は見事に完売。この日を待ち望んだファンの熱気でいっぱいのライヴが2023年5月25日に行われた。

満員御礼となったシグリッドの初来日公演 © Yaona Sui

満員御礼となったシグリッドの初来日公演 © Yaona Sui

19時の開演と同時にバンドメンバーと共にステージに立ったシグリッド。日本デビュー・アルバム「ハウ・トゥ・レット・ゴー(ジャパン・エディション)」でも1曲目に置かれている「It Gets Dark」を歌い始めると、その小柄な体型からは想像できないほど大きな声量と豊かな音域で会場中の度肝を抜いた。辛く遠い世界へと旅経つからこそ気づく人生のすばらしい瞬間を歌った同曲は、自己愛的なテーマを持つ最新アルバムの世界観も丁寧(ていねい)に描いており、シグリッドの見せる世界へ誘うのにぴったりのオープニングとなった。

© Yaona Sui

© Yaona Sui

この日のセットリストは、1stアルバム「サッカー・パンチ」の人気曲も多く収録された日本デビュー・アルバム「ハウ・トゥ・レット・ゴー(ジャパン・エディション)」をほぼ全て網羅したものだが、シグリッドは約80分間のセットリスト全編に渡り一切疲れた様子を見せることなく終始力強く歌い上げていたことが印象的だ。歌唱力に定評のある海外アーティストは多くいるが、ここまで安定感と魅力にあふれた歌い方をできるアーティストは中々めずらしいだろう。海外では1万人超えの観客に向けてライヴをする彼女のパワーをこのキャパシティで存分に感じられたのは非常に幸運だったと言っても過言ではない。

© Yaona Sui

© Yaona Sui

また、Tシャツ、ジーンズ、アディダスのスニーカーというシンプルでナチュラルなルックでステージに立った彼女は、その着飾らない装いが彼女のキャラクターをよく表していた。ライヴでは、自分の知らない日本語を観客に聞いたり、当日誕生日を迎えたバンドメンバーに「お誕生日おめでとう」と日本語で言いたかったが、即席で発音するには難しすぎたため、観客に合図を出して代わりに言ってもらう場面もあった。その親しみやすく、ナチュラルな性格に魅了された人は多くいただろう。

アンコールではファンからもらった日本のユニフォームを着用 © Yaona Sui

アンコールではファンからもらった日本のユニフォームを着用 © Yaona Sui

すでに楽曲制作のために頻繁(ひんぱん)にスタジオに出入りしていると公言しているシグリッドだが、今後の音楽作品への熱い期待を抱きたくなるライヴとなった。