朝早くから慣れない手つきで洗濯しては長屋の女性陣にダメ出しされ、昼はレストランのボウイとして働き、夜はシャツに火のし=アイロンをかける。竹雄(志尊淳)の1日は、すべて愛する若・万太郎(神木隆之介)のためにある。竹雄の甲斐甲斐しさがよりいっそう際立つ東京編、もし彼がいなかったら万太郎はどうなっていたことか。

 しかし竹雄が献身的に働いている間、万太郎は長屋の差配人・りん(安藤玉恵)にステーキを振る舞い、牛鍋屋に東大の学生たちと繰り出す。おいしそうな肉をほおばりながら「家賃は竹雄が働いてるから心配いりません」と差配人さんにニコニコ語る万太郎。うんそうだね、竹雄が働くから暮らしのお金は大丈夫だよねー……いや大丈夫じゃないだろ万太郎、竹雄もたまには「やってらんねー!」と怒ってもいいのよ? 「竹雄はもう従者ではなく、わしの相棒じゃ!」と言っていたのに、峰屋にいた時よりももっと竹雄が働いている気がするのはなぜ。

 と、なんだか竹雄にはひどいことしかしていない気がする万太郎なのですが、東大の研究室でみんなに「よそもの」として受け入れられずに取り残される後ろ姿を見て「なんてかわいそうなの……がんばれ万太郎!」とつい同情して応援してしまうのはなぜなんでしょう。本当に天然の人たらしですよね。