物語はスランプ気味の作家・三馬太郎(中村)が亡き父の故郷、“ハヤブサ地区”に移住するところから幕を開ける。都会のストレスから解放され、穏やかな生活をスタートしたはずの太郎だったが、地元の消防団に加入したのを機に連続放火騒動に巻き込まれ、住民の不審死など怪事件にも遭遇。ハヤブサ地区を守るべく真相を追ううち、集落の奥底にうごめく巨大な陰謀に突き当たる。

 川口が演じるのは、主人公の太郎より少し前に、東京からハヤブサ地区に移り住んだ美貌の映像ディレクター・立木彩。田舎町ではひときわ目を引く、洗練された美貌の持ち主で、現在は映像系の専門学校の講師を務めるかたわら、ハヤブサ地区をPRする町おこしドラマ企画を立ち上げ、活動している。その脚本執筆を依頼したことから太郎と急接近するが、実は彼女には集落の闇につながる衝撃の過去が…!? “疑惑のヒロイン”として、太郎の心、そしてストーリーを静かにかき乱していく。

 池井戸×中村という希代の才能が手を組むことで大きな話題となっている本作で物語の鍵を握るヒロインを演じる川口は池井戸作品初出演で、中村とは13年ぶりの共演。本作への出演について、長崎・五島育ちの川口は「池井戸先生の作品に初めて出演させていただくことになり、とてもうれしく思っています。私も田舎町の出身ですが、田舎特有の人づきあいや事件が起きた時のハラハラ感が濃く描かれていて、『こういうこと、あるある!』と感じますし、穏やかな田園風景の中で奇妙な事件が起きた時の“違和感”にはゾクッとさせられます。また、幼い頃、父が仕事のかたわら消防団として活動していた記憶もあって、そういうところでも作品に親しみを感じています。脚本を読んでいるだけで面白いので、映像としてどんな世界観を描き出していけるのか、楽しみにしています」と物語に自身の体験を投影して、オファーを受けた時の印象を語った。