手話やろう者の世界について取り上げたドラマが放送されたり、海外でも高い評価を得る映画が公開されたりするなど、社会的な関心が高まっている昨今。2025年には世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が日本で初めて開催されることが決まっており、ろう者・ろう文化についての理解がより広く求められている。
そんな今日的な題材に向き合ったドラマで草彅が演じるのは、主人公・荒井尚人。ろう者の両親の間に生まれた耳が聴こえる子ども、コーダ(CODA=Children of Deaf Adults)であり、自身の生き方や他者との関わり方について悩み、現在 と過去の事件を追う中で自身が果たして何者なのか、周囲の人から問われ自分自身にも問いかけることになる人物だ。ドラマの中では草彅が手話を使って演じるシーンもある。
また、ドラマ化に際してオーディションを行い、20人近いろう者・難聴者のほぼすべての役を、実際にろう・難聴の俳優が演じるのが、本作ならではの試みとなる。
演出は「岸辺露伴」シリーズ(NHK)などを手掛ける渡辺一貴氏。制作統括の伊藤学プロデューサーを中心に、3年前からじっくり取材を重ね、構想を温めてきた作品でもある。従来のドラマや映画を超えたリアリティーで、ろう者やコーダが抱える悩みや葛藤を繊細に描く。加えて、本作の特徴でもあるミステリー要素も存分に堪能できる作品となっている。