「わしを勘当してほしい」とまで言って峰屋の当主の座を捨て、並々ならぬ決意で東京に来た万太郎(神木隆之介)と、従者を卒業して「相棒」となった竹雄(志尊淳)。しかし送った荷物が多すぎて下宿を断られ、新しい下宿先を探しまわる途中で大事な標本入りのトランクを盗まれ……と、上京初日から大ピンチ。広々とした峰屋に慣れきっているから東京の一般的住居の狭さを知らず、善人も悪人も大勢いる東京の広さも知らない。独り立ち宣言しても、まだまだ頼りない万太郎。竹雄がいなかったらもっと大変だったろうなあ。
トランクを探し続けてふたりがたどり着いたのは、ドクダミが生い茂る十徳長屋。標本を燃やそうとする男・倉木(大東駿介)を止めようと、大金で買い取ると笑顔で約束するのがすごく万太郎らしかった。お金がない恐怖や苦しみを今まで味わったことがないから、躊躇なく出費できる。そして人から拒絶されたことのない「若」だから、初対面の怪しい相手、どう見てもトランクを盗んだ泥棒にさえ笑顔を向けられる。しかし今回、その今までの万太郎らしさに初めて別の顔、「本気」が加わった。「おまんが燃やそうとしゆうがは、わしの命そのものじゃ!」と言い切る気迫、強い声の「返しや!」。命ほど大事なものを守るための、新しい万太郎の顔。相変わらずのんびりしてるから荷物もとられてしまうのだとハラハラ見守っていたのですが、植物学の道しかないのだと心に決めた彼は、今までの頼りない「若」扱いの万太郎から少しずつ変わりつつあるようです。
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