話題となっている絵画
インターネット上で、ある1枚の絵画が話題となっている。
現在インターネット上で注目を集めているのは、162年前に描かれたとされるフェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーの絵画「The Expected One」。1人の女性が山の中の小道を歩いており、その女性をピンクの花を持った男性が片ひざをついて待ちぶせしている、というものだ。
一見ほほえましい絵画だが、現代に暮らすネットユーザーが違和感を覚えたのは、女性がその時代にはありえない「あるもの」を持っているからだった。
162年前の服装で、道を歩く女性。その手をよく見てみると、そこにはiPhoneそっくりなスマートフォンが握られているように見える。この絵が完成したとされているのは1860年。一方、iPhoneが初めてリリースされたのは2007年。そのため、この女性がiPhoneを持っているのはどう考えてもありえない。
ネット上で憶測が広がる中、美術評論家がタネ明かしをした。
この美術評論家によると、女性が持っているのは聖書であり、決して「歩きスマホ」をしているわけではないという。
アート代理店CEOのジェラルド・ウェインポルター氏は「Motherboard」紙に対し「ヴァルトミュラーの絵画の中の女性が持っているのは、最新のiPhoneなんかではありませんよ。小さな聖書を持って、教会に向かっているところだったのでしょう」と述べ、ネット上のウワサを否定した。
この絵画に最初に注目したのが、かつてグラスゴーの役人として働いていたピーター・ラッセルさんだった。彼は妻と共に訪れたミュンヘンの美術館でこの絵画を目にした際、強い関心を抱いたという。
「もっとも衝撃的だったのは、テクノロジーの進歩が絵画の解釈を変えてしまうというところです」と語ったピーター・ラッセルさんは、「1850年や60年であれば、この絵を見た人すべてが、女性が持っているものは聖書だとすぐに認識できたはずです。ところが現代において、『この女性が持っているのはスマートフォンだ』と言われれば、ほとんどの人がそのように見てしまうのです」と付け加えている。