基本給は把握しているけれど、手取り額がどうやって計算されているかよく分からない。若手ビジネスパーソンにはそういった人も少なくないでしょう。がんばって稼いだはずの給与から税金などが引かれているのを見ると、なんだか納得がいかない……という人も多いかもしれませんね。控除の内訳や、どうやってその額が決まっているのか、若いうちにきちんと知っておきましょう。
給与明細を手元においてチェックしてみよう!
企業に勤める人が支払う税金や保険料には、さまざまな種類があります。まずは、自分の給与明細をチェックしてみましょう。「控除」の欄に記されているものが、給与(支給額)から差し引かれた税金や保険料の内訳となります。
「所得税」「厚生年金」「健康保険」「雇用保険」「住民税」それぞれがどんなものか、どのように算出されているのかチェックしてみましょう。
「所得税」とは?年末調整の意味もチェック
正式名称は「所得税及び復興特別所得税」といって、年間所得に応じて課される税金のことを指します。月給やボーナスを基に算出した額が毎月源泉徴収されます。
所得税の算出方法
ステップ1:年収-給与所得控除額=給与所得額を算出
*給与所得控除額は年収によって変化します
ステップ2:給与所得額-所得控除額=課税所得額を計算
*所得控除に該当するのは、社会保険料控除や生命保険料控除など14種類
*1,000円未満は切り捨て
ステップ3:課税所得額×所得税率-控除額=所得税額を算出
*税率は、課税所得額に応じて定められています
ステップ4:所得税額+復興特別所得税額(所得税額×2.1%)=所得税及び復興特別所得税額
*100円未満は切り捨て
実際に月給から源泉徴収されていた所得税の総額と、年間所得に対する所得税の総額には違いが生じます。この差異を補うのが「年末調整」です。
年末調整とは、本来徴収“されるべき”所得税額と、実際に源泉徴収“された”所得税額の過不足分を名称どおり年末に調整すること。
多く徴収されていた場合は還付され、逆に少なかった場合は不足分を徴収されます。勤務先の会社にもよりますが、還付がある場合は12月の給与と一緒に受け取れるケースが多いです。
*給与の総額が2,000万円を超える場合は、確定申告が必要となるため、年末調整の対象にはなりません。
老後の生活、健康や失業のリスクにそなえる社会保険
会社員が給与から引かれる社会保険は、「厚生年金」「健康保険」「雇用保険」の3種類です。社会保険にはもう一つ「介護保険」がありますが、これは40歳から支払いが始まります。
厚生年金と健康保険は、株式会社や有限会社を含む法人事業、または5人以上が勤務する個人事業所で働く人などが加入対象となります。
正社員はもちろん役員や外国人労働者など、常時勤務しているのであればその対象は国籍などは問いません。毎月の保険料は翌月の給料から差し引くため、4月からの勤務分については実際には5月からの支払いとなります。
それぞれの社会保険を具体的に見ていきましょう。
「厚生年金」とは
日本の会社に勤める人や公務員が加入する公的年金のことで、老後の生活資金や障害リスク等に備えて加入、保険料を支払います。厚生年金に加入した場合、将来、国民年金にプラスして厚生年金を受け取ることができます。
基本給と各種手当からなる標準報酬月額×18.30%にて算出(平成29年9月分~)。実際は事業者(勤務先)と折半した額を支払うことになり、標準報酬月額が20万円の場合は1万8,300円、30万円なら2万7,450円など所得に比例して給与から天引きされます。
「健康保険」とは
日頃から病気やけがなどに備え、加入者が保険料を支払う公的な医療保険制度のこと。会社を辞めたり転職したりする際には、会社から支給された健康保険証を返却する必要があります(任意継続の場合を除く)。
健康保険には複数の種類があり、特に加入者数が多いのは「協会けんぽ」と「組合健保」です。「協会けんぽ」は全国健康保険協会が運営しています。
一般企業が加入しているのはこちらで保険料の算出方法は厚生年金と同様ですが、注意したいのは保険料率。東京都は9.87%、大阪府は10.22%など数値が各都道府県で異なるため、一度確認してみるといいでしょう。
「雇用保険」とは
一般的に全ての労働者が対象となる制度で、失業した場合などに条件に応じて給付を受け取ることができます。
月給×被保険者負担率で算出。被保険者負担率は一般事業が0.3%で、農林水産や清酒製造事業、建設事業従事者の場合は0.4%となっています。