・北条司の大ヒット漫画『シティーハンター』の実写版日本映画が、Netflixで2024年に全世界に向け独占配信される。
・韓国では、約12年前にイ・ミンホが同漫画を原作にしたSBSドラマ『シティーハンター in Seoul』で主演を務めた。
・企画が白紙の状態にもかかわらず、監督がイ・ミンホにオファーした理由と、放送されるまでの紆余曲折をご紹介。
北条司の代表作『シティーハンター』が、2024年に映画になって帰ってくる。
1985年から1991年まで『週刊ジャンプ』で連載され、大ヒットを記録した漫画の実写版だ。
主人公の冴羽獠役を務めるのは俳優の鈴木亮平、原作の世界観を大切に、東京を舞台に物語が繰り広げられるという。
韓ドラファンなら覚えている人は多いのではないだろうか。キャラクターや名前が異なるものの、イ・ミンホもかつて同じ役を演じたことがある。
彼が出演したのは、『シティーハンター in Seoul』(SBS/2011)。
漫画『シティーハンター』を原作としながらも、韓国で受け入れられやすいよう財閥や政治の闇の世界を描くなど、設定を変えて制作され本国で高視聴率を叩き出したドラマだ。
またアジアでも多くの人から支持を受け、韓国ドラマ自体の人気にも貢献。
イ・ミンホに至っては日本人ファンを量産し、中華圏では爆発的人気を博して韓流スターの名をほしいままに。彼が現在の地位を確立する足がかりとなった、重要な作品の1つだ。
そんな『シティーハンター in Seoul』だが実は、世に出ることなく終わる可能性があったのをご存じだろうか。放送が実現したのは、制作者側や役者の努力と協力があったからこそだったよう。
最初に訪れた試練は、制作の計画段階でのこと。2010年に放送されたRAIN(ピ)主演の『逃亡者 PLAN B』(KBS)と、物語の雰囲気が似ていたため企画自体が頓挫したという。
しかし諦められなかった本作のジンヒョクPDが、イ・ミンホに出演を依頼。ストーリーはおろか脚本家も決まっていない状況で、面識すらない彼に直談判したのだとか。
韓国では有名な監督ではあるが、台本なしでは無理なお願いだった。
ところが、同監督の前作『検事プリンス』(SBS/2010)を高く評価していたイ・ミンホは、この無計画なオファーを快諾する。
すると、当時すでに『花より男子-Boys Over Flowers』(KBS2/2009)でトップスターの仲間入りを果たしていた彼のキャスティングが決定したことで、止まっていた歯車が動き始める。
だがまたしても問題が。内定していた脚本家が途中で手を引き、代わりの作家を探さなければならない事態に見舞われた。
このため準備期間が十分にないまま、初回放送までわずか1カ月を残して慌ただしくクランクイン。相当急いでいたのかタイで撮影されたアクションシーンは、なんと6日間の弾丸ロケだったという。本作に携わる全員が必死で作品と向き合ったようだ。
ところがそんな中、製作費の縮小が決定する。韓国メディアによると、制作者側が借金をしてこの危機を乗り越えたそうだが、本作はまたしても大きな壁にぶつかっていた。
こうして『シティーハンター in Seoul』は紆余曲折を経て、世に輩出されることに。多くの人の努力と協力が、見事大ヒットドラマを生んだ。
そしてなんと言っても、ジンヒョクPDの情熱と彼を信じ出演を決めたイ・ミンホの決断は、本作の誕生に大きく寄与したといえるだろう。