美食の街リヨンの郷土料理、ハーブ入りチーズディップで簡単アペロ

こんにちは、菓子・料理研究家の山本ゆりこです。段々と気温も上がってきて、冷やした白ワインがおいしくなる季節になりましたね。今回訪れるのは前回の「シャンパーニュ地方」から少し南下した「ローヌ・アルプ地方」。

「ローヌ・アルプって、どこかしら?」と思われる方も多いと思いますが、美食の街として名高い「リヨン」ならご存じではないでしょうか?今月はフランス第3の都市(現在はマルセイユに抜かれ第3になっています)リヨンを有するローヌ・アルプの旅へ。

リヨンの郷土料理で、冷やした白ワインにぴったりなハーブ入りチーズディップ「Cervelle de canut(セルヴェル・ド・カニュ)」のレシピと共にご紹介します!

 

Cervelle de canut(セルヴェル・ド・カニュ:ハーブ入りチーズソース)の作り方

「セルヴェル・ド・カニュ:ハーブ入りチーズディップ」はリヨンの郷土料理で、主に前菜としていただきます。食感は異なりますが、フランス・ベル社の「Boursin(ブルサン)」シリーズのガーリック&ハーブのような味わいです。フランスでは通常「フロマージュブラン」というフレッシュチーズを使って作ります。日本ではフロマージュブランは手に入りにくいので、ヨーグルトと生クリームを使って手作りしましょう。

 

【材料】(3人分)

<自家製フロマージュブラン>
・プレーンヨーグルト:200g
・生クリーム:130g

・新玉ねぎ:25g(中1/8) ※普通の玉ねぎでも代用可
・にんにく:1/2片(5g)
・パセリ:大さじ2 ※イタリアンパセリがおすすめ
・セルフィーユ(チャービル):大さじ2
・小ねぎ:大さじ2 ※できるだけ細いもの
・オリーブオイル:大さじ1/2
・塩:小さじ1/4
・粗びき黒こしょう:適量

 

【作り方】

1.自家製フロマージュブランを作ります。

・ボールにヨーグルトを入れ、泡立て器でなめらかにします。生クリームを少しずつ加えながら、やさしく混ぜ合わせます。

・別のボールの底に空きビンを置きます。

・厚手のキッチンペーパー2枚を少しずらして重ね、ザルに敷き、そのザルをビンの上に置きます。

・写真のようにキッチンペーパー敷いたザルにヨーグルトと生クリームを合わせたものを流し入れます。

・ザルにふわっとラップをかけ、冷蔵庫で1時間30分ほど水切りします。

 

2.野菜を刻みます。

・玉ねぎは薄皮を除いてみじん切りにし、にんにくは薄皮と芽を除いてみじん切りにします。

・パセリ、セルフィーユ、小ねぎもみじん切りにし、キッチンペーパーの上に広げておきます。

 

3.合わせて、仕上げます。

・ボールに水切りした[1]とオリーブオイルを入れ、泡立て器でなめらかにします。[2]と半量の塩、こしょうを加え、ゴムべらで混ぜ合わせます。

・味を見ながら、残りの塩を加えます。

 

完成した「セルヴェル・ド・カニュ」は、ぜひバゲットと一緒にどうぞ!白ワインやスパークリングワインにぴったりのディップソースです。

使用するハーブはお好みで。シソやミョウガなどの和製ハーブを加えてもまた違った風味を味わえます。また、焼いたチキン、サバやサーモンなどの焼き魚、グリルした野菜にかけたり、タルタルソースの代わりに魚のフライにかけてもおいしくいただけますよ。

 

絹を中心に貿易で栄えた「リヨン」


フルヴィエールの丘の上に建つ白亜の「 Basilique Notre-Dame de Fourvière (フルヴィエールのノートルダム寺院)」はリヨンのランドマーク的存在

ローヌ・アルプ地方の中心都市のリヨンはローヌ河とソーヌ河という2つの河川に挟まれ、古くから物資が行き交う街として栄えてきました。特にルネサンス期にイタリアからもたらされた絹織物は、「絹の街リヨン」と称されるほどまで発展します。


リヨンの旧市街で見つけたカラフルな絹の糸巻きのオブジェ。坂や階段の多いリヨンの旧市街は歴史地区として世界遺産に登録されています

旧市街には織物が雨に濡れないように運ぶための屋根つきの通路「トラブール」がはり巡らされていたり、ヨーロッパ最大級を誇る「リヨン織物装飾芸術博物館」があったり、菓子屋のショーケースには繭や絹のクッションの形をした郷土菓子が飾られるなどなど、街のあちこちで絹や織物にまつわる文化を感じることができます。


ミントグリーンのマジパン菓子が、絹のクッションの形を模した「クッサン・ド・リヨン(リヨンのクッション)」。センターにはガナッシュが入っています。


パリでも人気の人形劇「ギニョール」はリヨン生まれ。その原型は絹織物貿易を通じてイタリアからフランスに伝わったとか。主人公ギニョール(写真右)は織物職人という設定です

 

“リヨンの母たち”によるリヨン式ビストロ「ブション」

冒頭でも触れましたがリヨンは「美食の街」。リヨンのまわりには『ポール・ボキューズ』をはじめとするミシュランの星つきレストランが点在し、街中には、リヨンの郷土料理を出す「ブション」と呼ばれるビストロであふれています。


Bouchon Lyonnais(リヨンのブション)の看板がかわいい旧市街のブション。現在は、伝統的なブションやおいしいブションに与えられる認定マークができたそうです。

リヨンには昔から東西南北あまたの食材が集まってきたといいますが、リヨンを「美食の街」として有名にしたのは、19世紀末から台頭してきた「Les Mères Lyonnaises(レ・メール・リヨネーズ|リヨンの母たち)」と呼ばれる女料理人たちの存在が大きいでしょう。

彼女たちはもともとブルジョワ家庭で雇われていた料理人です。地元の食材を使い、毎日食べても飽きない家庭料理を作ることで腕を磨いてきました。

そして、そのスキルを持って自身の店を開きます。その中には女性初の3ツ星料理人ウジェニー・ブラジエもいて、若き日のポール・ボキューズは、彼女の店で見習いをしていたそうです。


創業1953年、リヨン生まれのショコラティエ『Bernachon(ベルナシオン)』は、フランスチョコレート界におけるbean to bar のパイオニア。写真の創作チョコレートケーキはポール・ボキューズのために考案された看板商品

お店がオープンした当初は、絹織物に携わる職人たちを相手に、肉屋で捨てられていた臓物を積極的に取り入れ、彼らのお腹を満たしていたといいます。彼女たちが作り上げてきたリヨン料理の味を受け継いでいるのがリヨン式ビストロ「ブション」なのです。

今回ご紹介した「セルヴェル・ド・カニュ」はブションで定番の前菜。「絹織物職人の脳みそ」という意味ですが、もちろん脳みそは入っていないのでご安心を(笑)。

その昔、貧しい労働者にとって「チーズを作った後に出る乳清」で作るフレッシュチーズは重要なタンパク源でした。これに味や香りをつけて食べていたのがこの料理のルーツだとか。

 

これからの季節、アペリティフのおつまみとしてもぴったりです。冷たくした白ワインやスパークリングワインと一緒にお楽しみください。

 

★イベント情報

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〜 いにしえを求める小さな旅 サン・ジェルマン・アン・レイ

2023年4月28日(金)20:30-22:00(日本時間)

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