・俳優パク・ソジュンが主演を務める映画『ドリーム』が、4月26日に韓国でいよいよ公開される。
・公開に先立ち紹介されたインタビューでは、大きな期待が寄せられていることについて率直な心境を告白。
・「彼の映画が韓国映画を救う」という表現には、「過大な妄想では?」と本音を伝えた。
4月26日に、韓国で公開となる映画『ドリーム』。
公開日を目前に控え、主演を務めるパク・ソジュンが、韓国メディアのインタビューに答えた。
彼にとって、映画『ドリーム』は、2019年7月に公開された映画『使者』以来の4年ぶり。
今回、観客と会えることをとても楽しみにしている彼は「撮影をする数多くの理由の一つは、観客や視聴者と会うため。酷評であれ好評であれ、一か八か(成功しようが失敗しようが)」と話す。
パンデミック期間は、観客の反応を見ることさえも難しかったからだ。
「反応がないからエネルギーがなかった。フィードバックがないので、停滞した感じがした。4年ぶりに出てきたので大切だったことに対する悟りができて、この大切な時間を以前はそのまま過ぎていたなら、一瞬一瞬を大切に感じてみようという考えだ」と伝えている。
そしてパク・ソジュンは、今回の新作映画を通じて、観客に日常の一部をプレゼントしたいと願う。
「商業映画はキリングタイムであれ、家族で集まって過ごす時間であれ、そんな時間が価値があると思う」とし、「特別にすごく考えさせるというよりは、『ドリーム』が日常の一部になる時間をプレゼントできることを願う。進入障壁も低い映画なので、軽い気持ちで劇場を訪れた時代のように訪れてほしい」と話している。
しかし「韓国映画の“リリーフ(救援)投手”という言葉は、負担になる」と本音を吐露する場面も。
彼は「僕たちの話をしただけなのに、それでリリーフ投手にならなければならない状況だとそんな負担を感じていたら、キリがないだろう。韓国映画を救うというのは、過大な妄想じゃないか? ただ、もう少し上手くいってほしいという願いはある」と率直な思いを明かした。
彼がこのように語った理由は、韓国映画界が今、深刻な問題と直面しているからである。
その問題とは、韓国国内での観客動員数が伸びていないこと。
今年1月18日に公開された映画『交渉』は、国民的俳優のヒョンビンとファン・ジョンミンの共演が実現。しかも公開日は旧正月の連休期間という“特需”に恵まれたため、「今年初の1000万人動員映画になるか!?」と大きな期待が寄せられた。
しかしながら、4月現在での観客動員数は、172万人どまり‥。
人口約5000万人の韓国では「観客動員数1000万人が大ヒットの証」と言われているが、今年上半期に公開された主要作品7作の中で、損益分岐点を超えたものさえ、1作もないという。
その一方で、韓国で支持を得ているのが、日本のアニメ映画。
4月1日時点で、『THE FIRST SLAM DUNK』は観客動員数が約435万人、『すずめの戸締まり』は約328万人の人気を見せ、『交渉』のダブルスコアとなっている。韓国映画は今、日本アニメに押され気味なのである。
しかし、それ以前から、韓国映画の不振は囁かされていたよう。
その大きな理由として考えられるのが、映画のチケット代と、観客が求める作品の質。
チケット代は、10年前と比較すると約2倍の価格に上がり、映画を観る人も「せっかく観るなら失敗したくない」と、価格に見合う満足度が得られそうな作品を選ぶように。
そして今は、多くのドラマや映画をVODで楽しめるようになったことも影響し、映画館で観る映画には、より高いクオリティーを求めるようになった。
目が肥えた観客たちは、パク・ソジュンの新作映画を観に、映画館へ足を運ぶのだろうか?
しかし、期待できる要素は多いよう。
映画の内容は、2010年のホームレスサッカー国家代表チームの実話がもとになっており、ホームレスワールドカップへの挑戦がコメディータッチに描かれている。
であれば、幅広い世代や家族みんなで楽しめる映画は、ゴールデンウィーク中の動員数が見込める可能性が高い。
しかも共演は「国民の妹」として愛されている、IU(アイユー)。さらに監督・脚本は、韓国映画歴代興行収益の記録を持つ大ヒット映画『エクストリーム・ジョブ(2019)』のイ・ビョンホン監督。
ここまで良い条件が揃えば、『ドリーム』が2023年初の大ヒット映画になることも十分あり得る。
主演の本人は「韓国映画を救うだなんて、過大妄想」と謙遜しているが、業界関係者たちが、この作品に大きな期待をかけているのは間違いないだろう。
果たして、パク・ソジュンは、不振が続く韓国映画界の救世主となれるのか!? 乞うご期待!