学生やビジネスマンで賑わう後楽園駅から徒歩約10分。大通りから外れた住宅地に、シックな黒壁と大きなガラス窓が印象的なブーランジェリー『COMME D’HAB(コムダブ)』があります。

もちもち食感が人気のリュスティックや、旬の素材を使った惣菜パンなど、多彩なラインナップで訪れる人の食欲を刺激する、地域密着型のブーランジェリーを紹介します。

 

それぞれの“得意”と“好き”を生かして。夫婦二人三脚で「おいしい!」を提供

お店を営むのは、井上千尋さん、直弘さんご夫婦。笑顔が素敵なお2人の「こんなパンがあったらいいな」という思いから生まれた約30種類のパンが、店頭を彩ります。

子どもの頃からの夢は「獣医」だったという千尋さん。大学院に進学した際には、研究員として捕鯨船に乗船し、南極へ行っていたという驚きのエピソードをお持ちです。日本に帰港して、今後のことを考えたとき、「自分のお店を持ちたい、パン屋を経営してみたい」という思いに至ったそうです。

クロワッサンをはじめ、ヴィエノワズリーの種類も豊富!

「5年間、パンの技術を学ぶために大手ベーカリーで働きました。研修でフランスにも行かせてもらい、パン職人が技術を競う大会『クープ・デュ・モンド』の強化選手に選抜してもらったことも。これまでの経験を生かして、研究を重ね、食感や風味を追求しています」と千尋さん。

ビジネスマンや子育て世代が多く行き来する、春日の町をよく知る千尋さん。自宅の一階を改装し、地域密着型のパン屋として、お客さんの生活に寄りそった商品を並べます。

また直弘さんの前職は、イタリアンレストランのシェフ。パンに使う具材を直弘さんが担当することもあり、季節によって鹿と猪の煮込みを使ったパンや、タコとアオサのフランスパンなどワインにぴったりの商品を提案。レストランのサービスマンとしての経験もある直弘さんのトークを聞いていると、食べ慣れていないジャンルのパンでも「買ってみようかな」と、魅力的に見えてくるから不思議です。

「季節の野菜や果物を使った商品が多いので、並ぶ商品は気まぐれに変わります。その時々の旬の味を楽しんでください」とのこと。

おいしいパンと、心地良いサービス。各々の得意を生かした経営は、「また来たい、また食べたい」とお客さんの心を掴むに違いありません。

 

一度食べればまた食べたくなる、酸味のバランスと食感にこだわった「リュスティック」

『COMME D’HAB』の人気商品の1つ「リュスティック」。フランス語で「田舎風」を意味するこのパンは、水分量が多く、みずみずしい食感と、小麦粉の豊かな香りを感じられるハード系パンです。リュスティックは、酸味を感じる味わいが一般的ですが、こちらのお店では酸味を抑えた優しい味わいが魅力です。

左から「リュスティック」、「リュスティック・セレアル」

「酸味系のパンは好みが分かれることが多いですし、外国の方、おじいちゃんおばあちゃんに子どもたち、誰もがフラットに食べられるようにと、あえて酸味を抑えて焼き上げました。『一度食べておいしかったから』と、リピートで買っていかれる方も多いパンです」。

水分量の多いリュスティックは成形や窯入れのタイミングなど、扱いが難しく、触った数だけ味に変化が出てしまうそうで、終始気が抜けないと話します。焼き上がったリュスティックの断面はつやつや、もっちり。外側はパリッと、内側はしっとりとした口当たりで、「リュスティック・セレアル」は生地に練りこまれたライ麦の粒のプチプチとした食感も楽しめます。

手前が「リュスティック・セレアル」。大きな気泡が独特の食感を生む

「そのまま食べてもおいしいですし、スープやサラダと合わせるときは、軽くトーストして食べるのがおすすめです」と千尋さん。

「これと合わせてもおいしいですよ」と直弘さんが持ってきてくれたのは、フルーツを混ぜ込んだクリームチーズ。スプーンですくってトーストしたパンにのせれば、スイーツ感覚のパンに早変わり。リュスティックはもちろん、バゲットや食パン、クロワッサンなどにも合いそうです。

スイーツ感覚でパンを楽しめるクリームチーズは2種類から選べる(マンゴー&クランベリーと、マスカットレーズン&ストロベリー)

千尋さんは、自身が生まれ育った春日の町でパン屋をオープンする際、「ご近所さんが毎日食べたくなるパンを作りたい」という思いから、店名をフランス語で「いつもの」を意味する『COMME D’HAB』にしたそうです。

その名の通り、どんな人でも受け入れやすく、一度食べたらまた食べたくなる親しみ深い味わいに仕上がっています。

 

イートインも!ワインと一緒にパンを楽しむのも◎

また、月曜日はハンバーガーやサンドイッチなどの惣菜パンをメインにした品揃えで、常連のお客さんを飽きさせない工夫も。

新型コロナウイルスへの対策として、「5人まで」の入店制限を設け、ほとんどのパンが個包装で並べているそう。また、「業者さん救済キャンペーン」として、取引先の発酵バターやヨーグルトなどを安く販売する取り組みも不定期で行っています。

店内にはイートインスペースも。直弘さんがセレクトするワインも楽しめます

取材中も道行く人が千尋さんや直弘さんに手を振っていく姿が多く見られ、地域に根ざしたお店として、お客さんに愛されている様子が伺えました。笑顔と元気をくれる『COMME D’HAB』のパン。朝焼き上げた分がなくなり次第終了となるため、早めの来店がオススメです!

 

  • ■お店情報
  • COMME D’HAB(コムダブ)
  • 住所:東京都文京区春日1-7-12
  • 営業時間:月曜11:00~、火~土曜9:00~
  • 定休日:日曜日
  • ※閉店時間は売り切れ次第終了。
  • ※お支払いは現金のみ。
  • ※お店の定休日は変動あり。事前にご確認ください。

 

提供・PARIS mag(シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン)

【こちらの記事もおすすめ】
今気になるのは“固め”プリン。都内で楽しめるプリン6選
フランスの国民食!クスクスを使ったタブレのレシピ
おうち時間に作りたい!家庭で作るフレンチレシピ集
パリのブロカントショップ『Brocante Petite LULU』に聞く、アンティークの楽しみ
2020年最新!パリグルメ通がおすすめするパリのお土産4選