舞台『ロスメルスホルム』が、10月から11月にかけて愛知・福岡・兵庫・東京で上演されることが決定した。
ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンによって1886年に書かれた『ロスメルスホルム』は、古く凝り固まった時代から新しく解放されつつある時代の中、保守的な思想と進歩的な思想の人々との対立を、緊張感のある心理描写で描いた人間ドラマ。イプセンの最高傑作のひとつともいわれる本作を、2019年読売演劇賞大賞・最優秀演出家賞に輝いた日本演劇界の巨匠・栗山民也が手がける。
ロスメルスホルムと呼ばれる屋敷の主、ヨハネス・ロスメルを森田剛、ロスメルスホルムに下宿し、亡くなったロスメルの妻に代わって家の一切を仕切り、ロスメルにも強い影響を与えるレベッカを三浦透子が演じる。共演には、保守的なロスメルの義理の兄クロル教授に浅野雅博、急進派の新聞編集者モルテンスゴールに谷田歩、ロスメルの子供時代の家庭教師で大きな影響を与えるブレンデルに櫻井章喜、そしてロスメルスホルムの出来事を静かに見守る家政婦へルセット夫人に梅沢昌代が名を連ねている。
■演出:栗山民也 コメント
イプセンの作品と出会うたび、独特な劇世界の中に喜びとも迷いとも分からぬまま、その言葉の海に漂っていたことを覚えています。それは、物語のぎりぎりのところでいつもはぐらかされ、方向性の見えぬどこか遠くへと連れ去られてしまった感覚なのです。でも、それが人間の在り方そのものでしょ?と問われたら、なるほどと頷いてしまうのですが。
まるでギリシャ劇の運命に揺れる人間たちのように、イプセンの描いた人物たちはとても雄大にも見え、あるときはひどく愚かで滑稽で、だからこそ愛おしく、必死にたくさんの言葉を目の前のあなたに投げつけてくるのです。
なんだか人との関わりに距離をとってしまう今の乾き切った時代だからこそ、必死に何かを探し続ける、そんな出会いを夢中で求めてしまうのです。
■森田剛 コメント
台本を読んで、緊張感のある会話の中でのシーンが深く描かれていて、暗く重たいストーリーではありますが、自分にとって大きなチャレンジになる作品だと思うので、稽古が始まるのが今からとても楽しみです。
栗山さんの作品は、ステージの空間と俳優たちの立ち位置がすごく計算されていて綺麗で、今回ご一緒できることになって、演出を受けられることはとても嬉しいです。この作品はきっとご覧になる方にとっても、凄く集中力と体力がいると思いますが、きっと大きなものを感じてもらえると思います。
■三浦透子 コメント
時代と国を超えて残ってきた作品に触れること自体学びがあり、純粋にこの作品に関われることは意味のある貴重な体験になると思いますし、すごく嬉しいです。
実際今を生きている自分が今の心で読んでも、考えさせられる部分や、刺さる言葉の強さを戯曲から感じるので、繰り返し読みたいですし、自分の中で生まれてくる解釈を楽しみたいと思います。
栗山さんとご一緒出来るのは光栄です。集中したくなるような素敵な空間と時間を作れるように頑張りたいと思います。
<公演情報>
舞台『ロスメルスホルム』
原作:ヘンリック・イプセン
脚色:ダンカン・マクミラン
翻訳:浦辺千鶴
演出:栗山民也
出演:森田剛 三浦透子 浅野雅博 谷田歩 櫻井章喜 梅沢昌代
愛知公演:10月 穂の国とよはし芸術劇場プラット
福岡公演:11月 キャナルシティ劇場
兵庫公演:11月 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京公演:11月 新国立劇場 小劇場