ダフト・パンク Photo: Hahn Lionel/ABACA/Shutterstock
元「ダフト・パンク」のトーマ・バンガルテルは、AI(人工知能)の普及に「危機感」をおぼえているようだ。
4月4日(火)、BBCのインタビューに応じた電子音楽ユニット「ダフト・パンク」の元メンバーのトーマ・バンガルテルは、自らがロボット的な見た目で活動するかたわら、実際にAIが進歩することに対しては前向きな気持ちではないことを明かしている。
「ぼくたちは、マシーンには感じられないけれど、人間には感じられる、そういったきわめて感動的なものをマシーンを通して表現しようとしたんだ」と切り出したトーマは、ロボット技術の進歩を称えることが目的ではなかったと付け加えた。
トーマとガイ=マニュエル・ド・オメン=クリストの2人で構成された「ダフト・パンク」は、2021年に惜しまれながらも活動を停止している。
そんなダフト・パンクの音楽についてトーマは、「我々が立っているのは、つねに人類の側だった。テクノロジーの側ではない」と語ると、セルビア系アメリカ人で過激なパフォーマンスで知られるアーティスト、マリーナ・アブラモヴィッチに触れ、「ロボットのキャラクターは、20年間続いたマリーナ・アブラモヴィッチのパフォーマンスのインスタレーション(※)のようなものなんだよ」と続けた。
※1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ、現代美術における表現手法のひとつ。
さらに、ダフト・パンクの音楽が「現実とフィクションの境界線をあいまいにしていた」と述べたトーマは、AIが発展することで音楽の概念を変え、人間を退行させることになるのではないかと懸念を示している。
「この(ロボットの)キャラクターが大好きなんだ」と自身のパフォーマンスへの愛を口にしたトーマは、「でも2023年、ぼくたちが生きているこの時代に、ぼくが一番なりたくないものは、ロボットなんだよね」と皮肉交じりに語ったのだった。