Profile

2000年生まれ。集英社「MEN'S NON-NO」モデル。2019年の映画「蜜蜂と遠雷」で映画デビュー。2021年の映画「ホリミヤ」では主演を務める。ドラマでは、2019年NHK連続テレビ小説「なつぞら」や2021年「ドラゴン桜」(TBS)、2022年「六本木クラス」(テレビ朝日)、「silent」(フジテレビ)など、多くの話題作に出演。2023年3月から、Netflixシリーズ「君に届け」が全世界独占配信予定。

目を逸らさずに考えてもらえたら嬉しいです

今、65歳以上が人口の3割以上を占め、介護をめぐるニュースが後を絶たない日本。そんな現代の社会問題に切り込んだ、葉真中顕原作の『ロストケア』が公開された。42人もの老人を殺した介護士は救世主なのか、殺人犯なのか...?長澤まさみさん演じる検事のサポートをする検察事務官、椎名役を演じた鈴鹿央士さんにお話を伺った。

「この作品のオーディションを受けた時、僕はまだ19歳でした。椎名の年齢とも歳が離れていましたし、選ばれる自信は正直なかったです。でも、作品の企画書を読ませていただいたとき、一番に浮かんだのが僕が上京して3日後に亡くなったひいおばあちゃんと、その介護をしていた祖母の姿でした。自分が直接介護をしていたわけではないのですが、“死”や介護を身近なものとして感じていたので、オーディションでは、“この役を僕が演じられなくても、とても意味のある作品になると思うので楽しみにしています”と言ったことを覚えています」

結果、見事オーディションに合格した鈴鹿さん。“今思えば、ひいおばあちゃんは僕を送り出してくれたのかなと思います。亡くなる数日前に「行ってくるね」って普通に挨拶もしましたし...”と話す姿は、劇中で“僕、おばあちゃん子だったから”と話す椎名と被って見える。

「椎名くんは数学が好きで数字を見ると嬉しくなっちゃうという、ちょっと変わり者。僕も学生時代は英語が大好きで、勉強とは思わずに、ただ楽しいからやっていました。そんなところは彼と似ているかもしれません」

劇中では長澤まさみさん演じる検事と、殺人犯役の松山ケンイチさんのお互いの正義をかけた緊迫のバトルが繰り広げられる。

「おふたりのお芝居の迫力を間近で感じながら、毎回自分にカメラが向くたびに“僕に何ができるだろう...”と、不安になったこともありました。そんな時も、長澤さんは常に見守っていてくれましたし、松山さんも難しいシーンのあとは、“よくやったね、頑張ったね”と、褒めてくださって。もし僕が逆の立場で、毎日が緊迫したシーンの連続だったら、こんなにも周りに気を配れないだろうなと思いました。おふたりの大きさが身に染みましたし、毎日が本当に幸せでした」

“介護はまだ先のこと”と感じている同世代の方に見て欲しいと。

「僕たちはまだ親が元気な世代だと思うので、考えるきっかけになって欲しいです。実際、僕も親に介護が必要になったとき、どこに何を頼ればいいんだろうと考えました。親の介護に直面したときに一度考えたことがあるか、ないかでは全然違ってくると思うので、目を逸らさずに考えてもらえたら嬉しいです」

介護問題のように大きなことではなくても“目を逸らしたくなること”は日常的にあるもの。そこで“今、見ないふりをしていること”を伺うと、“おうちのホコリ...”とポツリ。

「スピーカーとアンプを繋げるためにテレビ台を動かしたのですが、裏側にホコリがほわほわ舞っていて...。最悪だと思いつつ、アンプだけ繋いでそーっと戻しました(笑)」

最後に、好きなタイプの女性と理想のデートを伺うと。

「音楽と映画の趣味が合う人がいいです。理想のデートは、映画のハシゴとか。もし一緒に『ロストケア』を見たら、意見交換をしたくなってしまうと思うので、そのときはぶつからない程度にしたいです(笑)」