この時、若林はこう思っていた。「初めての会話は慎重にいかないと」。そんなふうに自意識過剰で人見知りな性格になってしまったのは、5歳の頃、ある人物から掛けられた「呪いの言葉」のせいだ。一方、山里は思っていた。「そっちが話し始めるまで口開かねえからな」。山里が勝手に被害妄想を膨らませて攻撃的になってしまうのは、小学生の頃から母が唱え続けている「呪文」のせいだ。2人とも幼い頃に確立されたそのねじ曲がった性格ゆえに、人と関わることが極端に苦手。そんな2人が、そもそもどうしてお笑い芸人になったのか。それは、お互い高校時代に経験した、ある事件がきっかけだった。

 自分が何者か分からない、でも何者かになりたい…。極度に人見知りな超ネガティブ男と、被害妄想と嫉妬に狂う男が、いばらの道をもがき苦しみながら突き進む。道に迷うすべての人に送る、青春サバイバルストーリーが幕を開ける。