厳しい階級制度の江戸歌舞伎界で、努力と才覚と不屈の精神で大スターへと駆け上がった男の波乱万丈な人生を描く舞台『中村仲蔵』が、2024年2月に東京建物 Brillia HALLで上演されることが決定した。
歌舞伎全盛であった江戸時代中期に実在した破天荒な歌舞伎役者・中村仲蔵。梨園の血縁ではない彼は、市川團十郎に可愛がられて異例の出世を遂げ、一代で「名人仲蔵」と言われるまでになった。その波乱万丈な人生は落語や講談でも語り継がれ、いまなお人気の演目だ。
そんな唯一無二の中村仲蔵の物語を、歴史ドラマに定評がある映像監督の源孝志が舞台戯曲として書きおろし、演劇界の次代を担う蓬莱竜太が演出する。中村仲蔵役を務めるのは藤原竜也で、源と舞台で組むのは初、蓬莱と組むのは『木の上の軍隊』『渦が森団地の眠れない子たち』に続き、今回で3度目となる。
併せて、源、蓬莱、藤原からコメントが到着した。
■脚本:源孝志 コメント
一昨年前、この伝説に満ちた中村仲蔵という役者のドラマを作るにあたり、泣けてくるほど膨大な資料を読み込んだ。それこそ全部描けば大河ドラマになるほどのエピソードが、この天才役者の54年の人生にぎっしり詰まっている。悩んだ末、陽の当る階段を駆け登る仲蔵にスポットライトを当て、影の部分を思い切って捨てた。その結果、痛快無比な成功譚にすることができたのだが……あの、捨ててしまった仲蔵の「影」がもったいなくて仕方ない。テレビでは出来なかったそれを、舞台の脚本にふんだんに盛り込めば……フフフフ
中村勘九郎がドラマで演じた仲蔵が「陽」なら、藤原竜也が舞台で演じる仲蔵は「陰」。
徒手空拳で成り上がるダークな仲蔵に、是非ザワザワしていただきたい。
■演出:蓬莱竜太 コメント
歌舞伎界のパイオニアであった中村仲蔵を、同じく演劇界のパイオニアである藤原竜也が演じるという巡り合わせに胸が躍ります。
先頭で切り開いていく者にしか見えない、わからない景色というものがきっとあって、この両者にはそういう独特な孤独の匂いを感じます。
作を担当される源孝志さんはそんな人間の匂いや機微を物語に昇華させる名手ですので、この掛け合わせも見所の一つではないでしょうか。
この「中村仲蔵」を「演劇」にするという挑戦を「演出」させてもらえる喜びを感じております。
これほどの題材ですので、きっと稽古が始まったら大変なんだろうなと思いつつ、今はそのわくわくだけを存分に味わっておこうと思っております。
■中村仲蔵役:藤原竜也 コメント
これまで数々の役を演じてきましたが、まさか歌舞伎役者を真正面から演じる日が来るとは想像していませんでした。
「中村仲蔵」は、二年前に出演させていただいたドラマでは、六代目中村勘九郎さんが演じていて、僕はその仲蔵に事あるごとに発破をかける「謎の侍」役を演じました。歌舞伎役者として行き詰まった仲蔵に役づくりのヒントを与えるような場面の撮影では、歌舞伎らしい姿勢や所作の見せ方を勘九郎さんに教えてもらい、歌舞伎役者の皆さんは本当にすごいものだなと改めて感心していました。今回の舞台では自分がそれを先頭きってやっていくということで、身の引き締まる思いと同時に非常に楽しみにしています。
脚本を手掛ける源孝志さんとは、映像でご一緒したことはありますが、舞台は初めてです。実在した歌舞伎役者の物語を、史実をベースに想像力と遊び心を加えて書き下ろしてくださると思うと、いまからとても楽しみですし演じられることは本当に光栄です。
演出の蓬莱竜太さんとは、舞台でご一緒するのは今回で三度目です。人間の表と裏の奥深い心理を描きだすのが非常に巧みな方なので、しっかりと身を委ねて、中村仲蔵として生きて、最後はきっちり出世していこうと思います(笑)。
観に来てくださった皆さんを江戸の歌舞伎の世界にお連れできるよう、仲蔵の不屈の精神で喰らいついていきたいです。
<公演情報>
舞台『中村仲蔵』
2024年2月 東京建物 Brillia HALL
※愛知、宮城、福岡、大阪公演あり
脚本:源孝志
演出:蓬莱竜太
キャスト:藤原竜也ほか