<コメント>
■山田和也(演出)
ブロードウェイで『ジキル&ハイド』を観劇したのは1998年、日本版の初演は2001年でした。それから自分でも驚くような年月が流れたのですが、つい昨日のことのように感じる時もあったりします。気がつけば「私の演出家生活の中でもっとも長くつき合っている作品」になっているのですが、だからと言って今さら気負うということもなく……。いつも通り、平常心です。
今回で8度目の上演になるのですが、上演の度に新たな発見や気づきのある作品です。特に今回は「初参加となるキャスト」が多いので、その分「新しい解釈」「新しい表現」が稽古中にも随所に見られて、とてもスリリングな体験でした。物語前半の「ジキルと(その友人の)アターソンの友情」を今まで以上にしっかりと描いてみたくなったのですが、その結果その先のストーリーの見え方が変わったり……。新たな発見のひとつです。
初演以来20年を経ても色褪せることのない……どころか一段と輝きを増す『ジキル&ハイド』。その魅力を「ぜひ全身で」浴びにいらしてください。劇場でお待ちしています。
■石丸幹二(ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役)
私にとりまして最後の『ジキル&ハイド』、幕が開くのが楽しみです。今回でラストとなる稽古では、過去10年のアルバムを繰るような思いになるのかと思って臨みましたが、実際は、今回はこうしよう、といった新たなチャレンジが噴出。加えて、『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演しながらの稽古でしたので、自分への課題をクリアするのに精いっぱい。まだまだ感慨に浸る余裕はないようです。
5年前の前回のジキルは色に例えるとグレーからスタートしましたが、今回は冒頭、真っ白でいたいと思います。それが理事会で受けた衝撃やダンヴァース邸での人々とのやりとりによって、自分の中の黒いものが滲み出していく。徐々にグレーが増したところで〈時が来た〉を迎える、そんな作り方になったかな。歳を重ねたことにより、人間のさまざまな側面についてのストックも増えたはず。存分に出し切りたいと思います。
この10年、真摯に向き合ってきました。私にとってのラストステージは、新たなキャストを多く迎え、さらに新鮮味が増し、魅力に溢れています。お楽しみください。
■柿澤勇人(ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役)
今回が僕にとって初めての挑戦となります。
『ジキル&ハイド』は既に繰り返し上演されている作品ではありますが、稽古の中では自分なりの解釈やアイデアを提案させていただいたりと、役者としてとても楽しい時間でした。演出の山田和也さんをはじめ、スタッフの皆さんに感謝しています。この作品はとてつもなくエネルギーを要するフランク・ワイルドホーンさんのミュージカルナンバーがありますので、その素晴らしさも物語と併せてお伝えしなければならないという課題に日々、向き合った稽古の時間でもありました。
そして、これほどまでに身体と心、そして喉を酷使するとは、思ってもいませんでした。初演の鹿賀丈史さん、2代目の石丸幹二さんがこの作品をお1人で務められていたことが、今でも信じられません。人間の二面性を体現するということが、それほど果てしない道なんだと感じています。そして、その先に見えるものが何なのか、今はまだ僕もわかっていませんが、それを楽しみに、自身の実験が成功するよう、日々頑張りたいと思います!
劇場でお待ちしております。
<公演情報>
ミュージカル『ジキル&ハイド』
【東京公演】
2023年3月11日(土)~3月28日(火)
会場:東京国際フォーラム ホールC
【愛知公演】
2023年4月8日(土)・9日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
【山形公演】
2023年4月15日(土)・16日(日)
会場:やまぎん県民ホール
【大阪公演】
2023年4月20日(木)~4月23日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール
提供元・ぴあエンタメ情報
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