社会人になって間もない20代の女性が転職をするときに、あえてキャリアダウンを選択することがあるのをご存じですか?そこには女性ならではの理由があります。20代の女性がどうしてキャリアダウンを選択してしまうのか、その背景やキャリアダウン転職の落とし穴についてご紹介していきます。

20代女性の転職理由と、転職先を選んだ決め手とは?

まずは、20代の女性の転職理由について見てみましょう。

株式会社マイナビの転職動向調査によると、20代女性の転職理由には「仕事内容に不満があった」「給料が低かった」「会社の将来性、安定性に不安があった」「休日や残業時間などの待遇に不満があった」「職場の人間関係が悪かった」などが上位に挙がっています。

また、女性の転職支援を長年手掛けている転職サイトとらばーゆの調査によると、「経験の幅を広げたい」「スキルアップしたい」「給与・昇給など待遇に不満がある」「休日数、残業、勤務時間に不満がある」という転職理由が上位を占めています。

一方、20代女性が転職先を決めた理由を株式会社マイナビの転職動向調査で見ていくと、「希望の勤務地である」「福利厚生が整っている」という理由が突出しています。

つまり、会社の将来性や仕事内容に不満を持って転職活動を始めたにも関わらず、仕事先を決めるときの決定打は勤務地や福利厚生である場合が多いということです。

ここから20代女性の転職について、どのような実情が読み取れるでしょうか。

結婚・出産・周囲の環境など女性ならではのキャリアの悩み

女性の社会進出が当たり前になり、結婚や出産後も変わらず働き続ける女性が増えたものの、ライフイベントが女性のキャリアに影響を及ぼすことは避けられません。

  • 結婚を機に、プライベートを充実したいので仕事量を抑えたい
  • 今後の出産に備えて育休や時短勤務制度、子育て支援制度が整っている企業へ転職したい
  • 不妊治療のために仕事量を抑えたい
  • 出産し育休に入ったけれど、もとの業務に戻っても子育てと両立できるイメージが湧かない
  • 職場のママ社員が大変そう

このような女性ならではの不安が、転職を決めたきっかけになっている場合もあります。

20代前半の女性は、将来について漠然とした不安を抱えています。転職エージェントなどに相談に来る20代の未婚女性の中には、「結婚したあとのキャリアが不安なので、独身である今のうちに転職をしたい」と、先々のことを心配している人もいます。

その結果、今後起こり得るライフイベントに安心して対応できるよう、あらかじめ「福利厚生が整っていること」を基準に企業を選ぶ人が増えるのは自然な流れといえるでしょう。

また、実際に子育て中の女性や不妊治療をしている女性たちは「勤務地が希望通り」であり、現実的に通いやすいところを選択していきます。

「もっと〇〇の仕事にチャレンジしたい!」という仕事内容に主軸を置いた転職理由でキャリアを選択する人ばかりではなく、ときには福利厚生を重視するためにキャリアダウンせざるを得ないこともあるのです。

20代女性がキャリアダウンを選択することのリスク

20代の女性は、今後迎えるライフイベントに備えて、必ずしもキャリアアップのために転職活動をするわけではないことが分かりました。

  • 長く働けそうだから事務を選んでおこう
  • プライベートと両立するため、派遣社員を選び残業をなくそう
  • 結婚したので、正社員の仕事を辞めてパートタイムで働けば家のことができる

こうした考えは一見正しいように感じます。しかし、20代の貴重な時間でスキルを身に付けないままキャリアダウン転職をすることは非常に危険です。特に次の2点について、よく理解しておくことが大切です。

一度辞めてからの復職は難しいということを知ろう

結婚や子育て、妊活中は思い切って仕事を辞めて、また30代になったら復職をしようという考えは危険です。

現在の日本は売り手市場で、求人数>求職者数となっているのは事実ですが、企業が未経験者を採用するのは「20代までの若手」である場合が多いことは覚えておきましょう。

30代になると、今までのスキルや経験が重要視されるため、30代未経験者向けの求人は一気に少なくなっていきます。

もし20代で仕事を辞めて育児に専念し、30代から再度就職をしようと考えると、子育てしながらの転職活動になってしまいます。仕事がなければ「保活」ができない、保育園などの預け先がなければ転職のスケジュールが立てられないと、悪循環になる可能性があります。

パートに切り替えたり離職すると育休手当などが減って損をするかも

育休から復職し、子どもが3歳になるまでは1日6時間勤務となる短時間勤務制度を設けることは企業の義務となっています。また、雇用保険に加入しており要件を満たしていれば、育休手当が支給されますし、企業によっては育休中にボーナスが出ることもあります。

この事実を知らずに退職をしてしまうと金銭面で損をしてしまうので覚えておきましょう。自分の周囲に時短勤務の社員がいない場合、不安になることもあると思いますが、まずは自社の制度や国が提供している制度をきちんと確認することが大切です。

調べてみたら、案外別の部署には時短勤務をしている社員や育休を取得している社員がいるかもしれません。せっかく福利厚生が整っている企業へ転職したとしても、育休手当は直近の給与を基準に算出されるので、年収が下がるような転職をすると損をしてしまうのです。