2023年4月1日(土)より、東京都庭園美術館では、『建物公開2023 邸宅の記憶』が開催される。
1933年に竣工した朝香宮邸は、現在、東京都庭園美術館本館として活用されている。当時世界中で流行していたアール・デコ様式を日本に移植した重要文化財である同館は、宮内省内匠寮が設計、主要な部屋の内装をフランスの室内装飾家アンリ・ラパンが担当した邸宅。アール・デコ期を代表する作家ルネ・ラリックやレイモン・シュブらの作品も採用されている。同展は、そんな本格的なアール・デコ様式の建築空間を体感し、鑑賞する、年に一度の建物公開展である。
開館40周年という節目を迎える今年2023年の建物公開では、この邸宅の主であった朝香宮家の人々に焦点を当て、修復したオリジナル家具や調度、同時代の美術品などにより邸宅空間を再現。さらに旧朝香宮家の人々を紹介しながら、同館所蔵の伝来品や、今回特別に同展のために国内各地の所蔵先から里帰りした衣装、工芸、調度などを紹介。精巧で美術的価値の高い宮家ゆかりの品々からは、独得な気品を感じることができるだろう。
また、ボンボニエールの特別出品も見どころのひとつ。西洋諸国で用いられた小型菓子器「ボンボニエール」は、慶事の際の引出物として、明治以来、日本の皇室で使用されてきた。日本の伝統技術を駆使したボンボニエールの伝統は、皇室独自の文化として現在に引き継がれている。同展では、過去最大規模となる200点以上のボンボニエールを紹介する。
なお会期中、本館(旧朝香宮邸)の撮影が可能。また18歳以下の観覧が無料となる「ウェルカムユース」や、夜間開館する「ナイトミュージアム」、また赤ちゃんと楽しむ特別鑑賞日など様々なプログラムが用意されているので、興味のある方は美術館ホームページで確認を。