PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』が、6月6日(火) から25日(日) にPARCO劇場で上演されることが決定した。

『新ハムレット』は、太宰治が戯曲形式の小説として書き下ろした作品で、シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』のパロディ。設定は同じながらも太宰治のレンズを通すことで、ハムレットや彼を取り巻く人物たちが拗らせる悩みや関係性が身近に感じられる内容となっている。

本作の主人公・ハムレット役は木村達成、ハムレットを慕うオフヰリヤ役は島崎遥香がそれぞれ務める。またハムレットの学友ホレーショー役で加藤諒、侍従長ポローニヤスの息子レヤチーズ役で駒井健介、侍従長ポローニヤス役で池田成志、ハムレットの母でデンマーク王妃ガーツルード役で松下由樹、現王にしてハムレットの叔父にあたるクローヂヤス役で平田満が名を連ねた。

演出を手がけるのは、『コーヒーと恋愛』『貴婦人の来訪』『毛皮のヴィーナス』で第30回読売演劇大賞の最優秀演出家賞を受賞した五戸真理枝。古典作品を現代的かつ親しみやすく描く手腕に定評のある五戸が、この戯曲形式の小説を上演用台本にブラッシュアップし、“新しい”ハムレットを立ち上げる。

また本作は地方公演も予定されており、詳細は後日アナウンスされる。

■上演台本・演出:五戸真理枝 コメント
太宰治が筆を執ったこの翻案戯曲は、日本の現代演劇の隠れた至宝なのではないかと、強く惹かれています。
『新ハムレット』が書かれた昭和16年は、太宰に初めての子供が生まれ、12月には太平洋戦争が開戦するという年でした。どの登場人物もシェイクスピアの傑作でお馴染みの人物ですが、ひとりひとりの、人生に対する期待と不安が、よりはっきりと描かれています。
本家『ハムレット』のように、何度も再演され、語り継がれる物語として存在してほしいです。戯曲の魅力をお客さまにご堪能いただけますように、キャスト、スタッフの皆さまと力を合わせてがんばります。

■ハムレット役:木村達成 コメント
とんでもない苦悩にぶち当たる、そんな初夏を迎えることになりそうです。
冒頭の「からかわないでください、僕は地獄へ行くんです」というセリフがイヤな親近感をわかせます。不思議と読み進めていくうちにフラストレーションより共感することが勝っていました。

理解とまではまだいきませんが、その気持ちわかるよハムレットと、背中をさすってやりたい。
ぜひお楽しみに、よろしくお願いします。

■オフヰリヤ役:島崎遥香 コメント
PARCO劇場50周年という記念すべき年に出演させて頂けるなんて光栄です!
自分自身、新たな挑戦とも思えるこの作品でまだ出会ったことのない自分に出会えたら嬉しいです。
『ハムレット』はイメージとして復讐悲劇のイメージがありますが、『新ハムレット』はユーモアに溢れ、ひとつの家庭のちょっとした喧嘩のようにさえ感じてしまう面白さがあると思いました。
そしてどの時代も『愛とは?』という正解があるようでないテーマに悩み苦しむ姿は、現代を生きる私も考えさせられるものがありました。

是非観に来て下さい!

■ホレーショー役:加藤諒 コメント
演出の五戸真理枝さんをはじめ、素敵な座組の一員として、2020年に新しくなったPARCO劇場へ立たせて頂けること、大変嬉しく思います。
今は台本をいただいて読んだ所なのですが、未知の洞窟に入っていくような不安と、遠足前夜のようなわくわくが混ざった気持ちを抱いています。
力みすぎずに、不安を拭いながら挑めたら良いなと思ってます。
僕は出演者なので観る事は出来ませんが、『新ハムレット』早く観たいです。

■レヤチーズ役:駒井健介 コメント
PARCO劇場開場50周年おめでとうございます。
このようなお祭りに、出演者として参加することが出来てとても嬉しいです。
登場人物はみんな、ゴツゴツしていて、とても人間くさいです。そこがなんだか愛おしいし、たくさん共感出来る部分でもあります。あ、自分もこういう所あるなって。
太宰治の描く新ハムレット。太宰は言います。「作者の勝手な、創造の遊戯にすぎない」と。
そんな作者の言葉に勇気をもらいながら、自分も精一杯、創造して遊べたらなと思います。

■ポローニヤス役:池田成志 コメント
なんじゃこれは!最初に脚本を読んだ感想です。
確かに『ハムレット』の体裁なのだけども……
確かに普通のお芝居ではないですね。太宰治の小説の中の人間が、いますね、皮肉で、夢想家で、理屈っぽいのに、寂しがり。そして誰もが饒舌なのです、饒舌多弁なのに、肝の事はなかなか言わないんです。普通ではないです。気が滅入りそうです。やるのは難しそうです。でも、少し楽しみです。

■ガーツルード役:松下由樹 コメント
太宰治のハムレットに今から緊張と期待でいっぱいです。私自身新たな挑戦をする心持ちです。
演出家の五戸真理枝さんとキャストの皆さんと面白い舞台になるように頑張ります。
新ハムレット、キャストの面々に面白い舞台になる予感しかないです!是非観に来てください。

■クローヂヤス役:平田満 コメント
シェイクスピアの舞台に出るなんてまったく想像もしなかったのですが、読んでみたらどこをとっても太宰印で、これなら案外恥ずかしくないかも、とその気になってしまいました。
みんなが悩んでいるのも小人物ぶりも太宰治らしくて、グローバルスタンダードではない『新ハムレット』は、バズりはしなくても意外といけるかもしれないなと思いました。
そんな、器量の小さい、失敗の多い、それでいて真面目な太宰のハムレットが、僕は嫌いではないです。