応答装置の開発に協力したのは、14歳の時に広島で被爆した梶本淑子さん。梶本さんに会って話を聞いたという加藤さんは「とても優しい方で、被爆体験を証言することを誇りに思っていらっしゃいました。当時のことを聞くと、普通に話していてもその内容はかなり過酷で鮮烈なもので…」と、戦時中の実体験をじかに聞き、衝撃を受けたそう。「僕も、これまで戦争や被爆者の方の話をたくさん聞いてきましたが、戦争体験をした人の数だけ、記憶も内容も違います。梶本さんの話は本当に悲惨な部分もありました。でも、だからこそあらためて被爆体験をした方の話は残していかなければいけないと思います」と、このプロジェクトの大切さを実感したとのこと。

 人工知能を使った応答装置を実際に使用してみたという加藤さんは「完成した応答装置はとてもレベルが高かったです。日本語のあいまいな質問に対してもしっかりと対応していて、本物の梶本さんと話しているような感覚になりました」とその完成度に驚いた様子。「質問することで相手の言葉を想像して、また新たな質問が浮かび上がります。被爆体験は、すごく悲しい話ですし、つらいことが多々ありますが、それが実際の学びになって自分の中に培われていくのではないかと思うんです」と、聞くだけでは実感を伴うことができない話も、応答装置によって戦争をより身近に感じ、考えることができたそう。最後に、視聴者に向けて「この番組を見て、“命を継ぐ”という意味を考えてほしいと思います」とメッセージを送りました。