「公営住宅は行政の持ち物だから少しくらい家賃を滞納しても大丈夫」と、考えている人もいるのではないでしょうか?

確かに公営住宅の家賃を滞納しても、数ヵ月程度は居住し続けられますが、長期間滞納すると強制退去になります。そのため、公営住宅の家賃は絶対に滞納すべきではありません。

今回は、公営住宅の家賃を滞納してから強制退去になるまでの流れと、家賃を支払えない場合の対処法を解説していきます。

公営住宅の家賃を払えないとどうなるのか

公営住宅の家賃を支払うことができないと、最悪のケースでは公営住宅を強制退去になり、未払い分の家賃の差し押さえが行われることもあります。

しかし、実際には公営住宅の家賃を支払うことができない場合の対応は、自治体によってさまざまです。

総務省の「公的住宅の供給等に関する行政評価・監視結果報告書」には退去に至るまでの流れを次のように明記しているので、基本的にはこの流れに沿って強制退去になるものと理解しておきましょう。

  1. 滞納から1ヵ月〜2ヵ月で督促状・催告書が届く
  2. 滞納から3ヵ月〜5ヵ月で保証人に対して請求が行われる
  3. 滞納から6ヵ月程度で入居許可が取り消される
  4. 裁判所に対して明け渡し訴訟が行われる
  5. 滞納した家賃を完納すれば居住継続だが、完納できなければ強制退去

早ければ、家賃滞納から6ヵ月程度で公営住宅を追い出されてしまう可能性があると強く認識しておきましょう。

なお、未納分の家賃を支払えない場合は、給料や預金などの財産が差し押さえられます。

公営住宅の家賃を払えない時の対処法

公営住宅の家賃を支払えない場合には、絶対に黙って滞納することはやめましょう。市区町村役場の窓口へ連絡し、「支払うことができない旨」「なぜ支払いができないのか」「いつ支払うことができるのか」などを伝えましょう。

支払えない理由が明確で誠実に対応している人に対して、自治体がいきなり訴訟を起こして強制退去の手続きを取るようなことはしません。

全国には公営住宅の家賃滞納者は20万人ほどいますが、そのうちの9万人近くが滞納6ヵ月以上になっても居住し続けています。

また、どうしても家賃が用意できない場合には生活保護の申請も検討しましょう。

公営住宅居住者は要件を満たしやすいため、申請すれば比較的簡単に生活保護を受給できる可能性があります。

生活保護受給の条件は「働けないこと」「売却する資産がないこと」「扶助してくれる親族がいないこと」です。

そもそも公営住宅は住宅を所有していると居住できないので、生活保護受給にあたって1番のネックになっている「持ち家があると受給できない」という問題をクリアしています。

また、家賃を支払えない程度に収入が低く、それ以上働けないのであれば、生活保護を受給できる可能性も高いと考えられます。

公営住宅の家賃を支払うことができないほどに生活が困窮しているのであれば、生活保護の申請を検討しましょう。