そんな守綱の人物像については、「寺内町ではお酒も好きで飲んでいますし、女性も好きだったと聞いていて、豪快な人というイメージがどんどん膨らんでいたので、大人になったジャイアンみたいな人かなとイメージをしていました。ただ、殿(家康)をたたいてしまったことを、ものすごく悔いていて。そこから一向一揆があって話が進んでいきます。殿についていくようになるところは結構インパクトがあるので、そこも期待してほしいです。守綱はシーンごとにキャラクターが変わっていく役なので、いろんな守綱が見ていただけますし、もちろん、戦のシーンも私の見事なやりさばきで戦っていますので、楽しみにしていてください」と役への手応えも感じているよう。

 第7回で家康をたたいたシーンは1発撮りだったのかと聞かれ、「1発撮りを目指しました。できれば1発がいいなと思って臨みましたが、結果3発撮りでしたね。毎週、行われるリハーサルでちょっとビビっちゃって。目の前に松本さんがいたら、思いっきりたたけます? 無理でしょ?」と会場の人々に同意を求めながら、「ソフトにたたいたら松本さんの方から、『シーンとして成立しないから思いっきりたたいて』と言われて。『本番は思いっきり頼む。後日よろしく』と言われから、待っている間は(心臓が)バクバク。そして本番で『このあほたわけ!』とバーンってたたいたら、松本さんが『痛ってえな』と(笑)。『ごめんなさい! 力加減が分からなくなっちゃって』と謝りました。緊張したけど、その後、松本さんから『よかったよ』と声を掛けてもらって安心しました。あそこが緊張のピークだったので、後はもうずっと楽しいです」と松本とのシーンを振り返った。

 さらに、やりを持って大立ち回りをする守綱ならではシーンに関しては、「やりの稽古がふた月くらいありました。殺陣の経験があるので刀は使えるんですが、やりは全然勝手が違いました。皆さんの想像されている2倍くらいやりが長くて、僕の身長より高いし、結構重いんです。だから振り回すと結構なパワーを使うし、下手に振り回すと人に当たっちゃうので、その感覚をつかむのにものすごく時間がかかりました。しかも、寺内町のお寺で振り回すんですけど、そのセットが広いわけじゃないんです。両側にある柱をよけて振り回すのが難しくて、何回もNGを出して大変でした。今は慣れてきて、戦のシーンでも問題なく扱えています。一級品になってまいりました」とやりを使いこなせるようになるまでの苦労を明かした。

 もし今後大河ドラマでオファーが来たら、どんな役を演じてみたいかと問われた際には「ペリー、ペリー、ペリー」と3回連呼し即答。「ペリーじゃなくても、ペリーの仲間でいいでもいい」と顔立ちを生かした役をしたいと語り、「開国してください」と片言でセリフをいい、ペリー役を熱望。

 気になる「どうする家康」の撮影現場の雰囲気はというと、「めちゃめちゃいいですよ。前作の『鎌倉殿』は、撮影日が1日だったので、現場の空気を感じ取るには時間が足りませんでしたが、今作は松本さんが気さくで、みんなのことを気にかけてくださる方なんです。撮影の合間の休憩時間などに、みんなに話を振って盛り上げてくださるので、ありがたいです。仲のよさは現場の空気につながると思うんです。みんながストイックで無口だと、プロとしてはかっこいいんだけど、現場の空気はちょっと重くなっちゃう。そこを殿が端っこの方に1人で座っている人がいたら『こっちにおいでよ』と呼んでくれて。僕もまさにその1人で緊張して端っこの方にいたら、『昴、今日ケーキの差し入れあるから食べれば』と言ってくださって。そういう方なので今回の撮影現場の“殿”といいますか。かっこいい松本さんがいてくれるおかげで、和気あいあいとしている感じです」と松本の気遣いに感謝する場面も。