多くの漫画雑誌で食をテーマにした作品が連載され、書店でもグルメ漫画フェアが展開されています。グルメ漫画が人気を集める中で、お酒をテーマにした漫画も注目されている……!?仕事や夫婦を通したお酒に関する漫画は読む価値あり。“酒好きなら必読!”な作品には、次のようなものがあります。
『荒野のグルメ(作:久住昌之、画:土山しげる)』(日本文芸社)
グルメ漫画の代表格『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎は下戸であるため、劇中にお酒が登場しないことを残念に感じた読者もいたかもしれません。そんな人にぴったりなのが、『孤独のグルメ』と同じく久住昌之が原作を手掛ける『荒野のグルメ』です。
本作では、ニチブン商事の営業課長・東森良介の、都会という荒野の中で“オアシス”と認めた店での食べ飲みが描かれています。「カツオde日本酒」「大相撲de焼き鳥ビール」「ゴーヤー炒めdeハイボール」「焼きおにぎりde日本茶割り」……とお酒好きであれば、各話のタイトルを見るだけで喉が鳴りそう。
「薬味のジャグジャグとツルンクニンとしたカツオの歯ごたえのハーモニー」といったモノローグに、「分かる分かる」とうなずいているうちに自分も缶を1本開けてしまったりして。読者から「ほろ酔いテロ」と呼ばれて愛されているのも納得です。
『酒と恋には酔って然るべき(作:はるこ、原案協力:江口まゆみ)』(秋田書店)
日本酒大好きな32歳・松子の気になる相手は、会社の年下クール男子。“酔いデレ”な彼の思わせぶりな行動に、いちいちドギマギさせられる松子だけど――!?
1巻目だけでも末廣、夢心、菊正宗、甲子、獺祭、月の桂、菊盛、五橋、新政……と実在する日本酒が多数登場。お酒をテーマに執筆活動を続ける“酔っぱライター”こと江口まゆみが原案協力に参加しているだけあって、紹介される日本酒の情報はどれも参考になるものばかりです。
しかも純粋に恋愛漫画としても面白い!32歳の松子にとって、恋愛は一大事ではあるけど、100%没頭するようなものでもありません。年下クール男子は気になるけれど、将来的なことを考えると、こっちの相手のほうが幸せになれそう……とはいっても……。
恋愛を巡るアレコレは、松子と同世代の女性であれば確実に共感できそう。女友達の恋愛相談に乗るような気持ちで「分かるぞ、松子!」とうなずきながら、読者も1杯飲みたい気持ちにさせられる!?
『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店(漫画:猫原ねんず、原作:新久千映)』(ノース・スターズ・ピクチャーズ)
武田梨奈が主演を務める実写ドラマ版も人気を集める、女一人酒漫画『ワカコ酒』の初のスピンオフ作品。飲兵衛たちの舌を肥やす大衆酒場の料理人・ワカオが主人公のサイドストーリーです。
料理人目線の物語なので、読んでいるとお気に入りの居酒屋に対する感謝の念が湧いてきます。ひとくちに焼き鳥といっても、その裏には料理人の細やかな気遣いが存在する……。そんな当たり前のことに、改めて気付かされます。
コーンバターやだし巻き卵など、家庭でも作れそうな料理が登場したときは、「自分も作ってみたい!」という気持ちにさせられます。特に、たくあん入りのちょっと大人なポテトサラダは真似してみたくなった人も多いのではないでしょうか。
普段は適当なお総菜で晩酌している人も、本作を読めば、ちょっとひと手間かけて自分で何かさかなを用意したくなるかもしれません。