ほるぷ出版は今年2月『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』を刊行。著者は、年間2,000万人が利用する絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」の編集長 磯崎園子さんだという。
20年間の読者の声・レビューから見えたこと
20年間のレビューの蓄積をもとに絵本約180点を紹介するという同書。
人気の絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」で、20年読者の声と向きあってきた磯崎園子さん。年間約2,000点の新刊絵本が刊行される中、絵本選びのハードルの高さにつまずいてしまう大人たちも多いという。
日々寄せられるリアルな読者の声を聞き、子どもたちを見つめてきた磯崎さんが、同書で向き合ったこと、それは読者を悩ませていた「絵本と年齢」について。「これまで私たちはこの絵本と年齢の関係性について、しっかりと考えてこなかったのではないか」と磯崎さんは述べている。
絵本選びのスタートは子どもの反応を知ること
磯崎さんが同書の中で真っ先に見つめたのは、それぞれの年齢による子どもたちの反応だそう。大切なのは「子どもがどんな絵本の楽しみ方をしているか」を知ることだという。
反応がわかりにくい0歳児でも?と思うかもしれない。同書の“0歳と絵本”の章「赤ちゃんは宇宙人」では、視力も弱く、世界がまだぼんやりとしている未成熟な赤ちゃんは、実は刺激を求めていることを実際の子育てエピソードとともに紹介。
音や色、動きのある絵本『じゃあじゃあびりびり』(偕成社)や、『お?かお!』(ほるぷ出版)を紹介している。
絵本ではなく子供が主役のガイドブックだという同書。子どもが主役なところがこれまでの絵本ガイドブックと異なる点だという。絵本を読んだ子どもたちの反応、子育て中のエピソードがたっぷりと紹介されているところが魅力。
子どもと絵本のことがもっと愛おしくなる、今までなかった絵本ガイドブックになっているとし、赤ちゃんを授かった人への贈り物にもおすすめとも。
磯崎さんの刊行への思い
今回、「絵本と年齢」をテーマに語る機会に恵まれたという磯崎さん。0歳から6歳まで、なるべく丁寧にその年齢になりきって絵本を読んでみることにしたとか。
見えてくるのは、子どもたちと絵本の豊かで濃密な関係性で、どの年齢も本当に魅力的で、年齢で区切って語ることは、絵本を通して子どもを知ることであり、子どもを通して絵本を知ることにつながっていくのではないかと考えるようになったとか。
大人も負けてはいられないとし、同書を読んでいてもたってもいられなくなったら、すぐにでも自分で絵本を探しにってほしいとしている。
磯崎園子さん作、三浦太郎さん装丁の『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』は、1760円(税込み)で発売中。
絵本と年齢の関係をわかりやすく解き明かした同書を参考にしてみては。
絵本ナビ公式サイト:https://www.ehonnavi.net/specialcontents/essays/serialization.asp?id=124
(さえきそうすけ)