◆③大胆な家族:「南北統一した」という嘘を突き通すため奮闘!
朝鮮戦争により、平壌にいた妻子と生き別れて韓国に越南してきたキム老人は、末期がんで余命いくばくもないことが判明する。そこで、自身が死んだときに南北統一していなければ50億ウォンの遺産を政府に寄付するという遺言をひそかに残していた。
それを知った借金まみれの長男ミョンソク(カム・ウソン)は遺産欲しさに売れない映画監督の弟や家族と結託し、南北統一を「演出」することを決意。地下室でテレビ番組を捏造し、統一していないことがバレないよう家族全員で必死に父親を言いくるめて騙し通す。
そんな「統一ごっこ」も志半ばで終わりを告げ、やがて南北離散家族再会行事に参加するため訪朝する父親に同行したミョンソクたちは、そこで思わぬ事実を目にすることになる……。
「南北統一」の嬉しさで病状が好転してしまうキム老人とのせめぎ合い、嘘をごまかしきれずに最後は街ぐるみでの大芝居にエスカレートしていく強引な展開には抱腹絶倒。バカ映画に終始するかと思いきや、後半は実際の政情と絡めてしっかりと感動させてくる構成には舌を巻く。
東西分断下のドイツを舞台に、東西統一の偽ニュースを捏造するため奮闘する映画『グッバイ、レーニン!』のマイナーコピーであるという批判もあるが、南北分断、離散家族という重い主題をハートフルに昇華した、類似テーマの中では数少ない良作である。