トリミングサロンへ通っていても、足の裏の被毛が伸びることによって愛犬が滑りやすくなったり、排泄物でお尻まわりが不衛生になってしまうことはありませんか。
常に衛生的な被毛を保つには、飼い主さんの手によって定期的に自宅ケアしてあげるのがベスト。そんなときに役立つ犬用バリカンについてご紹介します。
1.犬に人間用のバリカンを使うのはアリ?
犬に人間用のバリカンを使うことはNGです。
手間がかかるだけでなく、ケガにつながる恐れもあるため、必ず犬用のバリカンを使用しましょう。
<人間用のバリカンはNGである理由>
犬と人間は毛質が違う
コシのある人間の毛質と違い、犬はふわふわとやわらかい毛質であるため、人間用のバリカンを使用しても上手にカットすることはできません。
手間も時間もかかるうえに、きれいに仕上げることもできないでしょう。
人間と比べて犬の皮膚は弱い
犬の皮膚はとてもデリケートなため、人間用として作られたバリカンの刃をあてることでケガをしてしまう恐れがあります。
犬にとっては音が大きい
犬は人間の倍以上の聴力を持つとも言われ、音にとても敏感な動物です。そのため、人間用のバリカンは犬にとっては非常に音が大きく、恐怖心を与えてしまう可能性が。
その点、犬用バリカンは静音設計で作られているものが多いため、安心して利用できます。
2.犬用バリカンの選び方
なるべく音の静かなもの
前述にもあるように犬は音にとても敏感なため、大きな音のするバリカンはおすすめできません。さまざまある犬用のバリカンの中でも、音の大きさの違いをよく確認したうえで選ぶと良いでしょう。
水洗いできるもの
一度バリカンを使用すると、刃の間や本体にたくさんの被毛が入り込みます。また、被毛と一緒に皮膚やゴミなどが付着することも。
不衛生な状態のまま保管しておくと、次回使用した際に皮膚トラブルを招いてしまう恐れがあるため、簡単に水洗いができるものがおすすめです。
コードレスで軽量なもの
はじめはちょっと難しいバリカンの扱いも、コードレスタイプのバリカンなら使いやすいでしょう。
コードレスなら、コンセントに刺さった長いコードがグルグルと巻かれてしまったり、愛犬の足に引っかかってしまう心配もありません。また、できるだけ軽量のものを選べば、より使い勝手がよくなるでしょう。
替刃があるもの
犬用のバリカンはたくさんの被毛を刈り取るため、被毛の絡まりやゴミの付着などにより、どんなにお手入れをしていても刃の劣化は免れません。
替刃がセットになっているバリカンだと、いつでも清潔、かつキレの良い刃でカットすることができるので便利です。
アタッチメントがあるもの
同じバリカンケアでも、全身の被毛をカットするときは刃幅の広いものを。顔まわりや足裏などの細かい部位をカットするときは刃幅の狭いものを、というように、部位によって使い分けるのが、きれいに、かつ安全にケアできるポイント。
そのため、刃のアタッチメントがセットになっているバリカンがおすすめです。
3.犬へのバリカンのやり方は?
飼い主さんによるバリカンケア・4つのコツ
1 毛並みに沿ってバリカンを動かす
バリカンは、毛が生えている方向に沿って進めていきます。
毛並みに逆らって進めると、設定した刃ミリよりも短くカットされてしまうので要注意です。
2 皮膚を引っ張りながらカット
バリカンを使うときは、バリカンを持たない方の手で犬の皮膚をピンと引っ張りながらカットしていきましょう。
伸ばさないまま進めてしまうと、皮膚のたるみに刃が引っかかってケガをしてしまう恐れがあります。また、こうすることによって刈り残しなくきれいに仕上げることができます。
3 動かすスピードはゆっくり
バリカンは決して早く動かさずにゆっくりと進めていきましょう。ゆっくりとしたスピードを守ることも、ケガの防止や仕上がりの美しさにつながります。
4 1人ではなく、家族と一緒に
安全性を考慮して、必ず2人以上でカットを行うようにしましょう。
飼い主さん1人では愛犬を支える手にもつい力が入ってしまったり、動き回る愛犬にケガをさせてしまう危険性があります。1人がやさしく体を支えてあげながら、もう1人がカットをするといった方法がベストです。
バリカンケアの方法
顔まわり
耳の下〜顎の下は刃を下に向けて進めていきます。この際、皮膚に対して刃が垂直に当たらないように注意しましょう。特に首は皮膚がたるんでいることが多いため、皮膚を傷つけてしまわないよう十分に気を付けましょう。
頭の上をカットする場合は、バリカンの刃は後頭部に向けて進めていきます。
身体
ここではトリミングサロンでの手順をご紹介しますが、あまり順番にはこだわらず、飼い主さんのやりやすい方法で進めていっても良いでしょう。
ステップ1:腰〜お尻
まず、腰の上辺りからお尻に向けてバリカンの刃を動かしていきます。
※ここで仕上がりの長さをしっかりと確認しておきます。
ステップ2:頭〜背中
次に、後頭部から肩・背中なども毛流れに逆らわずに進めていきます。イボなどがある場合もあるので、刃が当たり傷つけてしまわないように注意しましょう。
ステップ3:お腹周り
お腹周りは、嫌がらないのであれば前脚を持ち上げて立たせた状態にすると、安全にカットができます。メスの場合は特に乳首の位置に配慮し、バリカンの刃で傷つけないよう気を付けましょう。
前脚を持ち上げることが難しい場合は、後ろ脚を浮かせ、お腹が見えるようにしてバリカンをかけていきます。この際、脚を引く方向は横ではなく必ず後ろ方向へ。横に開くと股関節を痛めてしまう危険性があるため、十分に注意しましょう。
ステップ4:しっぽ
最後のしっぽ部分は、しっぽを持ち上げながら毛並みに沿って進めていきます。
無理に持ち上げるようなことをすると、嫌がる犬がしっぽを動かしながら抵抗し、ケガをさせてしまう恐れがあるため、やさしく無理の無いように持ち上げるようにしましょう。
足裏
基本的には肉球からはみ出ている毛を刈落とすことができればOK。肉球の間の毛をえぐり刈ろうとするとケガにつながる危険性があるので、十分に注意しましょう。
お尻まわり
毛の流れに逆らわずに、少し皮膚を片手で引きながらバリカンを動かします。お尻まわりは肛門を中心にして、放射線状に毛の流れを見ながらゆっくり刃を動かしていきましょう。