◆「共におれず、離れがたい」が南北分断作品の良さ
南北分断映画の楽しみ方とは? 映画ライターの渥美志保氏は、「わかり合えないはずの存在同士の相互理解がもたらすカタルシスがこのジャンルの醍醐味」と話す。
近年、同テーマの潮流が変わった影響もあるという。
「’90年代のスパイ映画『シュリ』などひと昔前の作品は朝鮮戦争や冷戦時代の名残もあり、対立や愛憎が強く描かれていました。その後リベラル政権による南北融和ムードも後押ししてか、お互いをもう憎めなくなっているのに離れざるを得ない悲しみを押し出した作品が増えた。
『愛の不時着』など設定は荒唐無稽でも、通底しているのは『離れても心は繋がっている』というメッセージ。それは日本人の琴線にも触れるものと思います」
【映画ライター・渥美志保氏】
TVドラマ脚本家を経て現職。カルチャー、コラムなど多くの媒体で連載。著書に『大人もハマる! 韓国ドラマ推しの50本』(大月書店)
【SPA!偏愛者・安宿緑】
南北分断映画やドラマは必ずチェックしている。実家がラブホテル「ホテルグリーン」を経営(破綻)。
<取材・文/週刊SPA!編集部>