Photo by: Dean Sherwood
2012年に結成し、デビュー・アルバムは100万枚を超えるセールスを記録、その後リリースした3rdアルバム「Night & Day (Night Edition)」と最新作「Cherry Blossom」では全英アルバム・チャート首位を獲得するなど輝かしいキャリアを送ってきたザ・ヴァンプス。
昨年結成10周年を迎え、メンバー自らが選曲・監修した楽曲に未発表音源を追加したアルバム「Ten Years Of The Vamps」をリリースし、ヨーロッパ各国とオーストラリアをツアーしてきた彼らだが、今回の日本公演はそれに続くアジアツアーの幕開けにあたり、2023年2月6日(月)にZepp DiverCity Tokyoと、2月7日(火)になんばHatchにて開催された。ここでは、6日の東京公演の模様をレポートする。
なお、現在ザ・ヴァンプス日本レーベル公式Twitterアカウント(@TheVampsbandjp)では、来日公演の大成功を記念して、B5サイズの直筆サイン入りフォトカードが抽選であたるキャンペーンを実施中。
あわせて、東京公演のセットリストもプレイリストになって公開されている。
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2019年の「SUMMER SONIC」で来日をはたしているが、単独公演としては実に5年4か月ぶり。開演前から多くの人々が集まり、会場は歓迎ムードで満ちていた。
開演時間を迎え、バンドがステージに登場すると、待ちわびていた超満員の観客からは大きな歓声が上がる。「Last Night」「Girls On TV」とデビュー・アルバム「Meet The Vamps」からの楽曲が連続で披露され、序盤から会場のボルテージは最高潮に。オーディエンスのエネルギーを受け、ボーカルのブラッドはファンとの再会を噛みしめるかのようにパフォーマンスを行っていた。ステージを常に駆けめぐり、全力でパフォーマンスをする彼は天性のエンターテイナーであり、会場のどこにいても、ファンはバンドとの一体感を感じられたのではないか。
その後も、2ndアルバム「Wake Up」に収録の「Rest Your Love」「Cheater」や「Meet The Vamps」に収録の「Wild Heart」など、初期の名曲が立て続けに演奏され、イントロが演奏される度にファンは大きな歓声をあげていた。
ファンだけでなく、彼らにとっても今回の日本公演には特別な想いがあるようで、「Cherry Blossom」が日本の美しい風景にインスピレーションを受けて制作されたことや、ベースのコナーが今回の滞在で“桜”という漢字のタトゥーを入れたことなど、日本に関するエピソードを交えながら、久々に日本に戻って来られたことをファンに何度も感謝している姿が印象的だった。
なお、今回のツアーは、“Greatest Hits Tour”と銘打たれているだけあり、ファンなら誰もが知っている曲を中心に構成されているが、2014年に公開されたコメディ映画『アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日』のエンディグテーマで、アルバム未収録の「Hurricane」が披露されるなど、様々な角度から10年の歩みをふり返ることができる工夫が凝らされていた。
活動初期の楽曲が披露された後はアコースティック・セッションへ。「Night & Day (Night Edition)」収録の「Middle Of The Night」、「Wake Up」の表題曲である「Wake Up」がアコースティックなアレンジで披露され、普段のハッピーでエネルギッシュなスタイルとは対照的に、アーティストとしての懐の深さと多才ぶりを感じることができたセッションだった。
楽器を持ち替え、「Wake Up」が再びバンド編成で演奏されると、会場は再び熱を帯びる。その勢いのまま、4thアルバム「Night & Day (Day Edition)』から「Just My Type」「Too Good To Be True」、「Cherry Blossom」収録の「Would You」が披露された。この時期の彼らは、オーガニックなポップ・ロックだけでなく、ダンスミュージック的なアプローチを取り入れるなど、ポップ・ロック・バンドの枠を超えた、成熟したバンドとしての存在感を手にした時期で、彼らの成長過程をライブを通じて追体験することができた。
【動画】The Vamps - Would You
ライブも終盤に差しかかってきた所で、いまでも彼らの代表曲のひとつであるファースト・シングル「Can We Dance」が演奏され、大合唱や手拍子が湧き起こる。
「Missing You」「Married In Vegas」は音源よりもオーガニックかつ親しみやすいアレンジとなっていたが、特にブラッドのピアノが印象的で、彼らのすばらしいメロディーをより際立たせていた。
本編最後には、ブラッドの「ファースト・アルバムの時期から聞いてくれているファンはどのくらいいるかな?この曲はシングルとしてはリリースされなかったけど、今でもお気に入りの曲なんだ」というMCから、「Risk It All」が披露された。
本編が終了し、再びメンバーがステージに現れると、会場は拍手に包まれる。アンコールは「Night & Day (Night Edition)」に収録の「All Night」から始まり、その後は「Meet The Vamps」から「Oh Cecilia (Breaking My Heart)」「Lovestruck」「Somebody to You」の3曲が立て続けに演奏され、会場は驚きと歓喜に満ちあふれていた。
ヒット曲連発の今回の公演は、“Greatest Hits Tour”という名にふさわしい夜になったが、10年もの間、彼らが第一線で活躍し続けられているのは、これまで着実に活動を積み重ね、ファンの声に耳を傾け、寄り添ってきたからに他ならない。そんな彼らのスタンスが垣間見えた今回の公演、「10年後も日本で音楽を届けたい」というブラッドからのうれしいMCを信じて、今後のさらなる活躍に期待しよう。