さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は、コロナの影響で半日休業になった社員さんから、こんな相談が届きました。
Q. コロナの影響で半日休業に…だけど実務が終わらず働いていたら、打刻の修正を求められた!
コロナの影響で半日休業になった社員です。今は国の補償のおかげで給与もまるまるもらえていますが、会社の業績を見ていると、今後に不安しかありません…。
そこで質問です。今現在は半日休業・テレワークで自宅での作業を続けているのですが、実際に実務が時間内(半日中)に終わりません。理由としては、取引先は変わらず全日で稼働しているからです。会社の出退勤は、そのまま素直に打刻しているのですが、先日上司から連絡があり「半日の勤務に修正をして」と言われました。
「なるべく早めに仕事を終わらせるようにしているけど、実務にそれだけの時間がかかっている」と伝えたところ、「時間をかけても売上は特に上がっていないよね。とにかく打刻時間は修正するように」と。
助成金の関係もあるので、打刻に関しての理由は想像もつくものですが、ここでまさか売上のことを言われるとは思っていなかったので驚きました。
今後、テレワークが定着してもこのように売上に対して言われるか? とも思いましたし、それを理由に退職勧奨などがあるのでは? と考えると恐ろしいです。まとまりがなくなってしまいましたが、このように打刻の修正等は問題にならないのでしょうか? また実務が終わらない場合はどうすれば良いのでしょうか。(あさこ/30歳)
A. 打刻修正の必要はなし! パワハラに当てはまるでしょう
あさこさんの状況では、コロナの影響で半日休業状態にあるので、会社で今後安全に勤務ができるのか、会社が傾かないのかが不安だと思います。現に、こういった相談はよくうけています。テレワークですと、なおさらでしょう。
そんな状態で、半日中に終わらない作業の仕事をこなし、「半日の勤務に修正をして」と上司に言われたのであれば、納得はできないでしょう。実際のところでは、半日勤務であったかどうかは、のちにどの程度勤務をしていたかどうかの証拠になるものですから、修正の必要はありません。
「なるべく早めに仕事を終わらせるようにしているけど、実務にそれだけの時間がかかっている」と伝えたところ、「時間をかけても売上は特に上がっていないよね。とにかく打刻時間は修正するように」というのは、実際の労働に対する対価が賃金であることを無視し、仕事に対して成果や結果をもとめる請負契約や業務委託契約のような状況ですから、明確に誤っているといえましょう。
もちろんあさこさんの場合、助成金の関係がある以上、会社側の考えもあるのでしょうが、ご指摘の通り、今後テレワークが一般的となるのは時間の問題でしょうから、打刻の修正はある意味パワハラでしょう。実務が終わらないときは、会社側にその旨申告し、別の形で実労働時間を記録していくことが必要になります。あきらめないでください。