マリリン・マンソン photo : Anthony Harvey/Shutterstock
米歌手のマリリン・マンソン(54)が、1990年代に当時16歳であった少女を“グルーミング”し、性的暴行を繰り返したとし提訴された。
“グルーミング”とは、もともと動物などが毛づくろいをするという意味であるが、性犯罪の文脈においては、子供や未成年へ性的虐待を行おうとする者が、被害者となりうる人物に近づき、親しくなって信頼を得る行為をさす。
米Page Sixが確認した法的文書によると、被害者女性の名前は公開されていない。彼女は1995年、マリリン・マンソンのダラスで行われた公演の後にマンソンによりツアーバスに招待された。このとき被害者女性は初めてマンソンにより“襲われた”といい、マンソンは「もし誰かに話したら、君と君の家族を殺す」と脅されたという。
その後マンソンは数週間のうちに被害者女性に電話をかけ始め、「君と君の友人の性的な写真を僕のファンクラブである『Satan's Bakesale』に送ってくれ」と言ったという。
1995年12月には被害者女性をニューオリンズでのショーに招待し、公演後にマンソンは彼女をツアーバスに連れ帰った。そこで「より攻撃的になり、キス、胸へのかみつき、オーラルセックス、性行為など、再び性的暴行を加えた」と、文書の中で主張している。
この2回とも、ツアーバスにはマンソンの“とりまき”が乗っていたと言われている。
被害者女性はその後、薬物とアルコールにおぼれ、「薬物、アルコール、性的逸脱、虐待、暴行といったマンソンの闇の世界に誘い込まれた」と述べている。
1999年、被害者女性が19歳であった頃に再度マンソンのツアーに招待され、そこでは「4週間グルーミングされ、性的暴行を続けられた」という。「マンソンはしばしば原告(被害者女性)に対し、彼とほかのバンドメンバーや彼のアシスタントと同時にセックスをするように強要した。マンソンは原告が何をしていいか、誰が原告に触れていいか、原告と性的行為をしていいのは誰か、すべて原告にドラッグを提供しながらコントロールしていた」と文書に書かれている。
またこの訴訟では、マンソンの当時の所属レーベルであるインタースコープとナッシング・レコードの名前が挙がっており、「レーベルはパフォーマーがコンサートの後に未成年者をバスに招いていたことを知っており、彼が性的暴力と未成年への性的暴行に執着していることもよく知っていた」と主張している。
マンソンはこれまでに何人もの女性から「虐待をうけた」と告発されてきている。発端となったのは2021年、マンソンの元婚約者で女優のエヴァン・レイチェル・ウッドの告発だ。エヴァンは当時19歳であった2007年から、19歳も年上であるマンソンと交際をし、婚約まで発展した。
しかし2021年に彼女は「彼は私がティーンの頃から私をグルーミングし始め、何年にもわたり恐ろしく虐待してきました。私は洗脳され、彼に服従するように操作されていた。もう報復や中傷、脅しの恐怖の中に生きることはやめた。この危険な男をさらし、彼に力を持たせた業界を批判します」と、マンソンから受けた虐待に声をあげた。
これをきっかけに複数人の女性が同じくマンソンから虐待を受けたと声をあげたが、マンソンは彼女たちの意見を真っ向から否定。2021年2月には「誰が見てもわかるように、私のアートと人生は長年物議を多くかもしています。しかし近日の私にかんする主張は、現実をひどくねじまげたものです。私の恋愛は常に、同じ意図を持ったパートナーとすべてにおいて合意しています。なぜ今、彼女たちがこのような形で過去をゆがませることを選んだのかは置いておき、上記が真実です」と声明を出していた。