クジラ肉が売られている日本の鮮魚売り場(2009年) Photo: Keizo Mori/UPI/Shutterstock
日本である「意外なもの」を販売する自動販売機が新たに登場し、話題となっている。
捕鯨(ほげい/クジラを捕獲すること)会社の「共同船舶株式会社」が、今月横浜市内にオープンしたのは、「クジラ肉」の自動販売機がならぶ「くじらストア」。24時間無人で営業しており、設置された3台の自動販売機にはクジラの刺身やステーキ、ベーコン、竜田揚げ、缶詰セットなどがならんでいる。販売価格は税込1000円から3000円だ。
クジラ肉は、世界的な捕鯨に対する抗議活動により消費量が年々減少しているため、同社としては手軽に手に入れられる無人販売所を導入することにより、消費者の関心を高め、売り上げ回復につなげたいという。
クジラ肉の自動販売機「くじらストア」は日本国内ですでに都内の糀谷と大井町にオープンしており、横浜店で3店舗目となる。
広報担当の久保好さんは同社について、「今後5年以内に、全国100箇所に自動販売機を設置する計画を立てている」と語っている。
1986年、一部のクジラが絶滅の危機にあることを危惧した国際捕鯨委員会(IWC)は、商業用の捕鯨を禁止した。しかし2019年、日本政府は「クジラ肉を食べることは日本の文化」だと主張した上で、商業捕鯨を再開した経緯がある。
これを受け、抗議デモそのものは止まったものの、団体からの反発は根強い。
クジラとイルカの保護を訴える「イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク」の倉澤七生事務局長は「自動販売機自体が問題なのではありません。そこからもたらされる事態が問題なのです」と説明する。
スーパーでは手に入りにくい存在となったクジラ肉。「くじらストア」による無人販売は果たして、起爆剤になることができるのだろうか。