A. 下額に腫瘍ができてしまった場合、下額の一部、あるいは全部を切除してしまわなければいけないことがごく稀にあります。下顎がないことには、意外と動物はなれてくれるものですが、顎がないということから少し不都合が生じてしまうため次の点に気をつけてあげましょう。

1.フードを食べやすい形状にしてあげましょう
ドライフードの場合に猫は下額にある歯を使ってすくい上げるように食べたり、上下の前歯を使って一旦加えてから口に入れたりし、ほんの数回ですが臼歯をつかって咀嚼します。このため、下額切除をした場合にはドライフードが食べにくいことがあります。
しかし、猫の舌はザラザラしているだけでなく、それ自体でものをすくい上げることもできるのなので、ペースト状や液体状のフードをあげるようにすると自力で食べることができるようになります。また、半生状のフードなどは猫の顔をやや上向きの位置にして、一粒ずつ口の中に入れてあげると良いでしょう。

2.よだれ対策を
人間も含め動物は常に唾液が口の中にでて、口の中を湿らし、同時に雑菌の繁殖を抑えています。そして、この唾液のほとんどはすぐに飲み込まれ、ほとんどよだれとしてはでてきません。
しかし、下額が無い場合には唾液を受け、それをためてから飲み込むと言う動作がしにくいために、普段より多くのよだれを出してしまいます。このため、口の中を湿らせると言う唾液の能力も低下しがちになり、口腔内や舌が乾燥しやすくなってしまいます。また、唾液がよだれとして外へ出て行く分、普段より少しだけ水分要求量が増えてしまいます。
これらのことを自宅では考慮して行って上げましょう。

A.毎日のケアの中でよだれをできるだけ拭いてあげましょう。
湿らした柔らかい布で口の周り、喉の部分を優しく拭いて上げましょう。
また、赤ちゃんのヨダレカケようなものを工夫して、それを首周りにつけてあげることで、拭く部分が少し減ります。ただ、これはヨダレカケを嫌がらない子の場合に限ります。

B.舌が乾燥しないようにしましょう
舌が乾燥しているようであれば、スポイトやシリンジを使って微温湯を優しく舌にかけ、舌の汚れを洗い流してあげましょう。

C.いつもより、水分を多く飲むように心がけましょう
水のみ場の数を増やしてあげましょう。水はその子が好きなもの(ぬるめのお湯が好きであったり、汲みたてが好きであったり様々ですね)をできるだけ用意してあげましょう。

3.12歳は高齢、シニアケアを心がけて
12歳は高齢ということになります。保温や保湿、日常の移動場所のすべり具合、あるいはトイレの位置、高さなど愛猫にとって心地よい空間を家の中に用意してあげましょう。
※ ドクターズアドバイスのシニアケアをご一読なさってみてください。

4.主治医の先生と良く相談して
手術を受けてからが、スタートとお考えになってみましょう。手術からの回復、その後のケア、治療法など不安に思う点が多々でるかもしれませんので、主治医の先生と良くご相談し、不安をできるだけ解消するように、また愛猫にとって最もよいことは何かを考え、選んでいきましょう。
そして飼い主の方ご自身が元気であるように心がけてください。愛猫は飼い主の気持ちをよく反映します。飼い主の方がお元気にされていれば、愛猫も幸せな気持ちでいることが多いと思いますよ。どうぞ、まずご自身の健康を管理し、前向きな気持ちで対処していってください。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

【こちらの記事も読まれています】
犬が吐く理由は?犬の嘔吐の原因や対処法、子犬の嘔吐について獣医師が解説
【獣医師監修】「猫が撫でられるとうれしいポイントと絆を深めるコミュニケーション術」
犬の咳、くしゃみ、鼻水の原因とは?考えられる病気と対処法を獣医師が解説!
猫に好かれる人・嫌われる人の行動や特徴とは?
犬同士が仲良しの時に見せる行動・サインって何?