ライアン・キーラ・アームストロング(左)、ジェイク・ロイド photo : Stewart Cook/Shutterstock, Keith Hamshere/Lucasfilm/Kobal/Shutterstockライアン・キーラ・アームストロング(左)、ジェイク・ロイド photo : Stewart Cook/Shutterstock, Keith Hamshere/Lucasfilm/Kobal/Shutterstock

「最低映画」を決める授賞式「ゴールデン・ラズベリー賞(通称ラジー賞)」の最低主演女優賞に、映画『炎の少女チャーリー』で主演をつとめた12歳子役のライアン・キーラ・アームストロングがノミネートされ、批判の声があがっている。

ラジー賞は毎年、アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の映画を選んで表彰するもの。初期は正真正銘のB級映画が各部門受賞を独占することが多かったが、近年は、輝かしい実績があるにもかかわらずどうしようもない役柄を演じてしまった俳優や、前評判と実際の出来のギャップが著しい大作などが受賞する傾向にある。

この賞自体が一種のユーモアとされており、本当にくだらない、つまらない作品を選ぶ場合もあるが、一方で出来はよいが惜しい作品や、強烈なカリスマ性や異色性が強すぎて一般ウケしない作品に与えられることもあり、この賞の受賞作品が意外によく出来たおもしろい作品として評価されることがある。

ラジー賞は1月23日、各部門のノミネートを発表。最低女優賞には女優のブライス・ダラス・ハワード(『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』)、ダイアン・キートン(『Mack & Rita』)、カヤ・スコデラリオ(『The King’s Daughter』)、アリシア・シルヴァーストーン(『ジョーズ・バケーション』)らと共に、映画『炎の少女チャーリー』にて主人公チャーリーを演じた12歳のライアン・キーラ・アームストロングがノミネートされたのだ。

ライアン・キーラ・アームストロングはこれまでに映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり』『ブラック・ウィドウ』にも出演し、若いながらもその演技力で大人たちを魅了してきた。今回彼女がラジー賞にノミネートされたことに関し、SNSでは「ラジー賞はすでに意地が悪く品のない賞だけど、子供をノミネートするなんて心から不快だし、まちがっている」「なぜ“いじめ”を助長して悪化させるようなリスクを子供に負わせるの?」などと批判の声が相次いでいる。

また「ライアンの演技は最低どころか今まで見た中で最高の役者。意味の分からないノミネーションに全く値しない」や、「これは度を越している。批評家として、私は映画について正直であるべきだと信じているが、残酷でなくてならない理由は全くない。子供をこんな風にあつかうなんて言語道断」と激怒する投稿もある。

ラジー賞が子役をノミネートしたのは、今回のライアンが初めてではない。女優のブルック・シールズは14歳のとき、映画『青い珊瑚礁』(1980年)でノミネートされた。またジェイク・ロイド『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』(1999年)で若き日のアナキン・スカイウォーカーを演じ、ラジー賞の最低男優賞を受賞した。

ジェイク・ロイドはラジー賞受賞の後、いじめを受けたことを明かしている。このせいで彼の人生は「生き地獄」となってしまい、わずか12歳で俳優引退へと追い込まれたと後に語っている。

ライアンが主演の『炎の少女チャーリー』は、スティーヴン・キングの傑作小説の実写映画化版。日本では昨年6月17日に全国公開された。